本文へジャンプ
 


「サハラの幻−スピノサウルス骨格復元プロジェクト」
マット・ラマンナさん
(カーネギー自然史博物館 博士)

 最初のスピノサウルスの化石は、エジプトのバハリヤ・オアシス、バハリア層から、シュトローマーによって発見された。発見された当時から、その化石は背中にある棘突起や、ワニのような魚食性を示す顎などの興味深い特徴を持つことが知られ、シュトローマーはそれをドイツのミュンヘンにあるラボに持って帰り、1915から1936年に様々な文献で発表し、スピノサウルス・エジプトエンシスと命名した。しかし、この化石は 1944 年4月24日、鉄道駅を目標とした空爆により失われてしまった。

 私は、 12 歳のころ本でこの話を知り、いつかエジプトでスピノサウルスの化石を再発見してみたい、とずっと考えていた。

 幸運なことに、私はその後エジプトでの発掘の機会を得た。エジプト・アメリカ共同プロジェクトで、2000年にバハリヤ・オアシスでスピノサウルスの再発見を目指して発掘をした。残念ながら、スピノサウルスを発見することはできなかったが、代わりに新種の竜脚類の化石を発見することができた。これを、私は海の傍の巨人、パラリティタン・ストロメリと命名した。なぜ、この竜脚類に「海の傍の巨人」という名前を与えたのかというと、それは、彼らが生きていた当時、 9500 万年前のバハリヤ・オアシスが、マングローブに覆われた熱帯の沿岸地域だったからである。

 数年前、本恐竜展の主催者が私をたずね、スピノサウルス骨格の復元を提案した。今回のスピノサウルスの復元を行うに当たり、資料にしたのは、シュトローマーの最初のスピノサウルスの写真と、その後新たにミュンヘンの博物館のシュトローマー・アーカイブで私が発見した4、5枚の写真、論文に記載された図、そして、近年モロッコで新たに発見された、スピノサウルス標本、さらにスピノサウルスに近縁なバリオニクス、スコミムス、イリテーター・チャレンゲリなどの恐竜の骨格である。特に、イリテーターは頭部骨格が発見されていることから、大いに参考になった。



マット・ラマンナ博士