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「ギガントラプトルの研究成果」
徐星さん
(中国科学院古脊椎動物古人類研究所 教授)

(二連ゴビの風景写真)
 現在の二連ゴビに植生はほとんどない。しかし、8000万年前には水も植物も沢山あり、様々な恐竜が生息していた。その中で一番面白いものがギガントラプトルだ。  

 譚林先生(タンリン 内蒙古竜昊地質古生物研究所長)と私とで10年くらい前からこの地域の発掘をしていた。新しい恐竜ではテリジノサウルス類、オルニトミモサウルス類が発見された。それをCCTV(中国中央電視台)がドキュメンタリーにしようとした。北京でインタビューを受けた後、二連盆地に行き、現場の撮影をした。譚林が、現場でちょっとそれらしい場面を作ってくれと、テクニシャンに岩をどかさせた。岩をどかしたら、そこから骨が出てきた。ソニドサウルスというティタノサウルス類竜脚類だった。

 何年かたって、日本経済新聞社が中国に来て、恐竜展用の取材をした。同じくインタビューを受け、TVクルーを連れて二連盆地の現場に行った。ディレクターが、ドキュメンタリーをもっと面白いものにしようと、ヤンさんというテクニシャンに発掘作業をしてもらうことにした。ヤンさんは、200mほど向こうにもっと大きな骨があると、皆を連れて行った。ブラシを使って骨をあらわにしてみると、竜脚類ではないことがわかった。獣脚類の脛骨だった。竜脚類の骨ではなかったのでドキュメンタリーには使えなかったが、大発見だった。

 これは非常に大きな獣脚類の骨とわかった。さらに驚いたことには、オヴィラプトル類だとわかった。これはどんなことなのか、例を出すと、ネズミは小さい動物だが、ブタサイズのネズミが新しく発見されたようなもの。オヴィラプトル類でこんな大きなものがいたこと自体驚きだ。オヴィラプトル類は小型で体重は数kg。しかしこれは1400kgもある。

 なぜ、こんなに大きくなれるのか。腓骨を切断して断面も見た。断面から12歳とわかり、T-REXより早い成長速度だったことがわかった。体が早く大きくなることのメリットは、色々な食物を食べることができること、捕食者に食べられにくくなること、などだが、デメリットもある。体が大きくなると、それだけ受ける重力も大きくなり、体に負担がかかることになるが、ギガントラプトルの骨の中身はかなりスポンジ状になっている。軽量化しかつ構造的に支えている。また尾椎などの骨の中を中空にし、軽くすることでこれに対応していたようである。鳥のような恐竜は普通小型だが、ギガントラプトルはT-REXに近い大きさだ。しかし、他のものに比べ、鳥のような特徴が多い。全体にスレンダーな感じ。また、脚の比率が長い。これはオヴィラプトル類全体で見ても珍しいし、恐竜全体で見ても珍しい。この恐竜の研究から、恐竜全体の研究が進むものだ。



徐星教授


ギガントラプトル骨格