恐竜のミイラ化石は、全世界で過去数点しか発見例がありません。今回展示される『ダコタ』は、その中でも特に保存状態のよい、大変貴重なミイラ化石です。この『ダコタ』はカモのようなくちばしを持つハドロサウルス類の植物食恐竜で、2000年にアメリカ合衆国・ノースダコタ州で、当時16 歳だったタイラー・ライソン少年によって発見されたものです。
 このハドロサウルス類のミイラ化石『ダコタ』には、全身骨格に加え、体表を覆う大小さまざまな鱗(うろこ)や、まるで野球のグローブを被せたかのような肉趾(にくし:ネコなどの肉球に該当する部分)が残る前足、皮膚や筋肉などの軟組織が化石化して残っていました。
 また、これまでに発見された恐竜化石のなかで、一般に爪と呼ばれているものは「末節骨」という指の先端の骨にあたるものでした。外からも見える実際の爪の部分は、骨よりもはるかにもろく、ほとんどは化石化の過程で失われてしまっていたのです。ところが驚くべきことに、『ダコタ』の後肢の末節骨には、ひづめを形成していたケラチンという物質の一部が化石化せずに残っている可能性が高く、関係者は強い関心をもって詳しい研究を進めています。
 恐竜ミイラ化石『ダコタ』の発見は、これまで骨格から類推してきた恐竜の筋肉のつき方や走行様式などの生態研究を一歩も二歩も前に進めるものであり、多くの研究成果が期待されています。
 「恐竜2009」では、アメリカ合衆国・ノースダコタ州でクリーニング作業の進む恐竜ミイラ化石『ダコタ』の最新の姿を日本で初公開します。

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恐竜ミイラ化石『ダコタ』日本初公開


恐竜ミイラ化石『ダコタ』の前肢(右側が指先)



『ダコタ』皮膚