「恐竜2009‐砂漠の奇跡」で展示する、特別に巨大なマメンキサウルス『ジャイアント・マメンキサウルス』(展示標本の愛称)は、中国・新疆(しんきょう)ウイグル自治区のジュンガル盆地で見つかったものです。マメンキサウルス類はこれまで中国で多数の個体が発見されており、従来は体長20m程とされていました。この骨格標本の全長は35mで、過去最大と言われた「スーパーサウルス」の全長33mを超え、世界最大級の恐竜であることが判明しました。

 「マメンキサウルス」は、後期ジュラ紀(1億6000万年〜1億5000万年以上前)に生息していた植物食の竜脚類恐竜です。首がとても長いのが特徴ですが、この『ジャイアント・マメンキサウルス』の首は19 個の頚椎(けいつい)からなり、体長の半分を占める16.9mにも及びます。『ジャイアント・マメンキサウルス』の骨格組立を行った中国科学院古脊椎動物古人類研究所の徐星教授によれば、「首の長さは世界最長の恐竜と言える」ということです。この長い首の先にある頭部を動かして広い範囲の場所から植物を大量にむしり取り、胴体の巨大な胃腸にベルトコンベア式に送り込むことで、摂食と消化吸収を同時に行ってエネルギー獲得の効率化を図っていたと考えられています。

 現代のジュンガル盆地は、乾燥した砂漠気候の土地ですが、「マメンキサウルス」が生息していた時代は、河川や湿地などの水場に恵まれ、植物も豊富に繁茂していたと考えられます。「マメンキサウルス」の巨大化は、それを促した当時の環境の豊かさを想像させるに足るものなのです。

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全長35m!世界最大級の恐竜「ジャイアント・マメンキサウルス」初公開



「ジャイアント・マメンキサウルス」全身骨格 日本経済新聞社提供