4「肉食恐竜の生態最新新研究成果」
ピーター・ラーソン 氏
ある標本個体の骨から、報告する。

インディアナポリスのチルドレンズ博物館に展示しているゴルゴサウルスを本展に持ってきた。まず気づいたのは頭蓋が非常にすばらしい保存状態であること。また、他の骨から、どのように生きていたかわかる。
右腓骨は一度骨折したが治っている。しかし変形してうまく収まらない。たぶんびっこをひいていた。また肋骨にも骨折の痕がある。
左肩甲骨は最も興味深い骨だ。どの部位の骨かわからず、エックス線写真をとって、ようやく中に埋まっていた元の骨がわかった。復元すると、治癒するときに大きなかたまりができ、元の骨を覆ってしまったのだ。おそらく前肢は不自由だったろう。
尾にも怪我の痕がある。3個の尾椎骨が癒合している。T-REXのSueも同じような怪我をしている。交尾時に発生した怪我ではないだろうか。
また、脊椎骨の関節部に溶けているように見える。卵を作るためにカルシウムを吸収したのではないだろうか。
感染症は、顔の先にもある。脳函をクリーニングしていたとき、黒い点があるのに気づいた。エックス線写真で見ると、中に紙を丸く固めたような形をしている。電子顕微鏡で見ると、ラインが見える。これに含まれる元素の分析もしてみた。黒い点からはリンが見つかった。つまりこれは骨だった。
これの説明は2とおりある。1.脳を囲む袋のようなもの、頭の中の腫瘍 2.骨質の腫瘍。いずれにしても、化石の中で脳腫瘍が見つかった初めてのケースだ。
このように、保存状態が良ければ、化石は多くの情報を与えてくれる。このゴルゴサウルスは、脳腫瘍のせいで死んだのかもしれない。
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