恐竜研究ってこんなにおもしろい
群馬県立自然史博物館長 長谷川善和氏
まず、世界の巨大恐竜博2006の開催にかかわった方々にお礼の言葉から始まりました。2年間で前の展覧会より良い展覧会を開催するため、日本経済新聞、NHK、日経ナショナルジオグラフィック社などに無理をして開催していただいた。熱く御礼申し上げたい。これも研究者として皆さんに最新の知識を知ってもらいたいためだ。また、今回のシンポジウムに出席される研究者は、発掘から研究までいろいろな過程の仕事を先端的にアクティブにされている方々ばかりだ。
恐竜の研究は150年くらい学問的な研究がされている。日本では、私が大学に入学した頃は、恐竜が出るとは思われていなかった。が、ここ20年くらいは、ようやく研究できる状態になった。今日も日本の若手二人の専門家がお話する。外国の研究機関で研究している日本人の研究者もいる。たいへん嬉しく思っている。それは、一つにはメディアの皆さんが熱心に展覧会を開催してくれたことも非常に力になっている。
私も40年前にフタバスズキリュウを発掘した。論文になったのはほんの2、3年前のことで、つい先日発表になった。ではなぜ40年近く論文を書けなかったのか?それは、私たちの時代には参照する論文もなく、金もなく、外国に行って調べることもできず、脊椎動物を研究する仲間の研究者も殆どいなかったからだ。最近は研究者も増え、交流も増え、論文もインターネットなどで簡単に入手できるようになった。そのかわり、あまりスピードアップしすぎて、これからの人は大変だなと思うが。
恐竜時代のこんな大型な生物が見つかるのを体験して、必ず日本でも恐竜が出ると信じて少しずつ調べているうちに見つかってきた。見つかる化石は断片的だし、いろいろな人に見つけていただいた。熊本県では小学校の生徒さんだし、岩手県では大学の先生たちがほかの研究のときに見つけてくださった。・・・そうこうしているうちに、手取層群から恐竜化石が出はじめて、今は福井県に恐竜博物館ができている。ようやく日本からも研究して情報発信できるようになり、海外の研究者とも話ができるようになった。
今回は、まず皆さん、恐竜って何がまず面白い?何となく面白いですね。いろいろな形で感心を持っていただいていると思う。いろいろな説が出ているが、最近は地球上にこんなに大きな生物がいたという、その代表が恐竜なので、皆さんそれに関心を持っているとおもう。逆に今日はポルトガルの先生は大きいばかりが恐竜ではないという話もすると思う。
また、中国からは羽毛恐竜。実は展覧会には毎回新しいものが陳列されている。10年前、初めて中華竜鳥が売りに出ていると聞き、その後大々的に羽毛恐竜と発表された。毎年・毎月新しい発見がある。その話もできると思う。研究者も非常に忙しく研究している。その中で、皆さんに良いものを見てもらいたくて展覧会を開催している。恐竜を組み立てるのもかなり難しい。私がフタバスズキリュウを組み立てるのも5年間かかった。あれだけの展示を、どれだけエネルギーを使って展示しているか見ていただきたい。
最大の呼び物は巨大恐竜。部分的には数十年前に見つかっていたが、どういう種類のものかは最近までわからなかった。最近、非常に沢山の部分の骨が見つかって、大変いい復元ができ、今回見ていただける。33mという、ちゃんと組み立てられたものでは今回最大級のものだ。
専門家の先生の話をよく聴けるよう、私の話はこのへんでやめたい。
リーフレットの裏に、主催者はどんなことを中心にして見ていただきたいか、いくつか大まかに分けて書いてある。これを見ながらゆっくり観察していただけたら幸いだ。
恐竜の学名が日本語のカナで書いてある。例えばT-REXがティラノサウルス、ティランノサウルスと2つ表記がされている。学名はラテン語をそれぞれの国の方が自分の国の言葉で読んで、それを日本語のカナにしている。あまり気にせず見てほしい。
それよりも見てほしいのは、恐竜の多様化、また哺乳類の先祖は恐竜の時代にもいたこと。着々と見つかっているので見落とさず見てほしい。また羽毛恐竜。これは形だけでなく解剖学や生理学、いろいろな立場で研究を進めているので、ぜひよく聴いてほしい。
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