(歯について)
このギャラリートークの1回目では、トーマス・ホルツ先生というメリーランド
大学で教鞭をとっている先生にT-REXの説明を詳しくしていただきました。そ
の時の情報もこれから紹介していきたいと思います。
ホルツ先生がT-REXの特徴として最初に説明されたのは歯のことです。T-
REXの歯はもっとも特徴的な歯をしていて、ダスプレトサウルスも同様な歯を
していますが、とにかく太いのです。「バナナのような形をしている」と言われ
たりしますが、普通の肉食恐竜の歯は断面を見るとレンズ形あるいはレモン
形というような平らな形になります。T-REXの場合は丸い太い歯をしています
ね。
では、なぜ他の恐竜と歯の形が違うのかというと、一般的には骨を砕くため
と言われています。他の恐竜は肉を小さく切る歯をしていますが、T-REXは骨
まで噛み砕いて食べていた。その証拠としてこの会場にT-REXの糞化石があ
りますが、それを分析すると小さな恐竜の骨の破片が見つかります。
それからもT-REXは骨まで食べていたと考えるのが自然ではないかという
事なんです。ではなぜ骨を食べる必要があるのか、別にカルシウムを摂るた
めではなく、同じ重さの骨と肉を比べると、実は骨の方が栄養価は高い、骨髄
の栄養価が高く、骨を砕いて中身を食べることができれば、同じ重さの肉を食
べるよりよほど高い栄養を得ることができたという説明があります。
このような巨大な体をしているものにとって、骨を残すのは非常にもったいな
いことであって、T-REXやタルボサウルスのような巨大な肉食恐竜が骨まで
食べたというのは、とても理にかなったことだと思うのです。
骨を食べるためには歯だけでなく、もう一つ大きな問題があります。会場で
今まで見てきたマジュンガトルスなどを思い出すとわかるのですが、頭骨を比
べると大きな違いがあります。それは、顎の大きさなんですね。頭の大きさに
対し、顎の占める割合が大きい。上にある頭と同じくらいの大きな面積がある。
何でこんなに大きいかというと、この裏側に筋肉が付いていた。筋肉は頭に向
かって抜けている形になります。ものすごい大きい筋肉が付いていた形になり
ます。( レーザーポインタでSueの頭骨を指して説明)
・・・アロサウルスの頭のサイズに対するこの面積と比べてみると、前から見る
ともっと細いんですね。 |