ヘビの椎骨は単純ではなかった 1.08.15
  ネブラスカ-リンカーン大学
  ヘビは肩帯や腰帯を失っているため、これまでクビから尾まで同じような椎骨が
 連なっているものと考えられてきました。体のどの領域にどのような骨や器官を配
 置するかを指示するHox遺伝子が失われたか壊れたものとされてきました。しかし、
 個々の椎骨の形態を、ワニやトカゲと比較したところ、ヘビの椎骨にはトカゲ同様、
 同数に分かれた領域ごとに異なる特徴があることが、わかりました。椎骨の配置に
 関するHox遺伝子は失われも壊れもせず、ちゃんと機能していたのですね。
 Jason J. Head & P. David Polly.(2015)
 Evolution of the snake body form reveals homoplasy in amniote Hox gene function
 Nature (2015) doi:10.1038/nature14042 アブストラクト

イグアナも、鳥類同様一方向に流れる呼吸をする 11.18.14
  ユタ大学 Phy.org
  一方向の呼吸の流れは、心室の分離や高代謝と共進化していたとする、脊椎
 動物の呼吸器系の進化に対する理解の転換を促すものということです。
 Robert L. Cieri, Brent A. Craven, Emma R. Schachner, and C. G. Farmer (2014)
 New insight into the evolution of the vertebrate respiratory system and the
 discovery of unidirectional airflow in iguana lungs.
 Proceedings of the National Academy of Sciences (advance online publication)
 doi:10.1073/pnas.1405088111 アブストラクト

アミメニシキヘビの単為生殖を確認 10.28.14
  ナショナルジオグラフィック(日)
  2012年、米ケンタッキー州のルイスヴィル動物園で飼育されていた11歳のアミメニ
 シキヘビ、セルマが産んだ6匹のメスの子が、単為生殖によるものということです。

双弓類で子の世話をする最古の化石証拠 10.23.14
  中国遼寧省のYixian(義県)層から産出したコリストデラ類、Philydrosaurus が子の
 世話した化石証拠とのことです。双弓類で子の世話をした最古の化石証拠になるそう
 です。
 Junchang Lu, Yoshitsugu Kobayashi, D. Charles Deeming, Yongqing Liu.(2014)
 Post-natal parental care in a Cretaceous diapsid from northeastern China
 Geosciences Journal DOI: 10.1007/s12303-014-0047-1 アブストラクト

海生ワニ形類の進化は海水温に制約されていた 8.21.14
  ブリストル大
  中生代から新生代、約2億間に、いろいろなワニ形類が海洋に進出し、自らの
 生息環境としてきました。しかし、その消長が何によっているのか、明らかでは
 ありませんでした。
 今回の研究では、2億年間に海洋進出した4つの系統のワニ形類の生息年代と、
 当時の海水温環境の関係を明らかにしています。
 方法は、年代ごとの海生ワニ形類各種の数と、同時代の魚化石に含まれる酸素
 同位体組成から復元した当時の海水温をリンクさせることによっています。
 結果、これらの消長は海水温の上下に制約されることが明らかになりました。
 ただし、ジュラ紀のメトリオリンクス類は海水温が低下してから数百万年後に絶
 滅しているため、低下した海水温にどのように順応したのか、さらに研究が必要
 ということです。
 Jeremy E. Martin, Romain Amiot, Christophe Lecuyer & Michael J. Benton
 Sea surface temperature contributes to marine crocodylomorph evolution
 Nature Communications 5, Article number: 4658 doi:10.1038/ncomms5658
 アブストラクト

Fossil Focus: Placodonts 6.02.14
  カメに似た感じですが、全く違う水生爬虫類、プラコドン類についてまとめていま
 す。英語ですが、図版もきれいなので、のぞいてみてください。

メトリオリンクス科ワニ形類、Dakosaurus の最大標本 5.17.14
 Mark T. Young, Lorna Steel, Martin P. Rigby, Eliza A. Howlett & Sylvia
 Humphrey (2014)
  Largest known specimen of the genus Dakosaurus (Metriorhynchidae:
 Geosaurini) from the Kimmeridge Clay Formation (Late Jurassic) of
 England, and an overview of Dakosaurus specimens discovered from
 this formation (including reworked specimens from the Woburn Sands
 Formation)
 Historical Biology DOI:10.1080/08912963.2014.915822 アブストラクト

miRNA解析により、カメは主竜類に 5.07.14
  イェール大
  カメの系統については、議論が続いています。イェール大の研究者らは、miRNA
 を用いてトカゲやヘビなどおよびワニや鳥類の主竜類のどちらに近いか解析しま
 した。結果、カメは主竜類と共通祖先をもつことが明らかになったそうです。
 Daniel J. Field, Jacques A. Gauthier, Benjamin L. King, Davide Pisani,
 Tyler R. Lyson and Kevin J. Peterson (2014)
 Toward consilience in reptile phylogeny: miRNAs support an archosaur,
 not lepidosaur, affinity for turtles
 Evolution & Development DOI: 10.1111/ede.12081アブストラクト

石川県白山市桑島化石壁からネオコリストデラ類記載 4.25.14
  日テレニュース(動画あり) 北國新聞 NHK(動画あり)
  桑島化石壁を貫通するトンネルを掘った石から採取されたものです。
 約1億3千万年前の地層からです。ネオコリストデラ類の発見は世界で7例目、
 国内では初めてのことです。
 Historical Biology に論文掲載されるとのこと。

ワニはピンポイントで音源を特定、そのメカニズムは? 3.28.14
  jeb
  ワニは、音源をピンポイントで特定できる聴覚を持っていますが、そのメカニズム
 について、これまで知られていませんでした。研究によると、両耳の間に管があり
 左耳でも右耳からの音を聞くことができます。そのとき、鼓膜に達する左右の耳か
 らの時間差が、鼓膜に対する圧力差となって、ワニは音源を特定できるのだそう
 です。このメカニズムは恐竜にもあったことが示唆されるとしています。
 Hilary S. Bierman, Jennifer L. Thornton, Heath G. Jones, Kanthaiah
 Koka, Bruce A. Young, Christian Brandt, Jakob Christensen-Dalsgaard,
 Catherine E. Carr and Daniel J. Tollin (2014)
 Biophysics of directional hearing in the American alligator (Alligator
 mississippiensis).
 Journal of Experimental Biology 217: 1094-1107 doi: 10.1242/jeb.092866
 論文フリー

巨大ウミガメの脚化石が160年ぶり一致 3.26.14
  時事 Drexel大学(動画あり)

英ワイト島から白亜紀前期のワニ形類記載 3.12.14
  BBC ポーツマス大
  ワイト島の下部白亜系 Wessex 層から産出した、ベルニサルティア科ワニ形類、
 Koumpiodontosuchus aprosdokiti 新属新種が記載されています。頭骨長約60p。
 Steven C. Sweetman, Ulysse Pedreira-Segade, and Steven Vidovic.(2014)
 A new bernissartiid crocodyliform from the Lower Cretaceous Wessex Formation
 (Wealden Group, Barremian) of the Isle of Wight, southern England
 Acta Palaeontologica Polonica in press
 available online 11 Mar 2014 doi:http://dx.doi.org/10.4202/app.00038.2013
 アブストラクト

サウリア類の起源および初期進化 3,01,14


サバンナオオトカゲにおける一方向性の肺気流パターン 2.20.14
  ネイチャー
  12月にオンライン版で発表された論文が今日のネイチャーに掲載されています。
 サバンナオオトカゲに一方向性の肺気流がみられることから、進化のシナリオとして
 2つの候補があるとしています。1つは、主竜類およびサバンナオオトカゲで独立に
 進化した。2つ目は両者の共通祖先の双弓類で獲得された。後者であり、それが双
 弓類の原始的形質であれば、この呼吸の特徴は絶滅した双弓類で再現されるはず
 であり、また、鳥類の起源の少なくとも1億年前の古生代に、小型の外温性四肢動
 物で進化した可能性があるとしています。
 参考:Farmer Lab

ワニも木に登る 2.12.14
  phys.org
  ワニ。中生代の陸生ワニならともかく、現生のワニは水中にいるか、せいぜい川
 岸で寝ているというイメージがあります。しかし、現生のワニ2属4種にも木に登る
 習性があることが明らかになりました。
 中には地上から4m、幹から枝に5mにもなるものもいるそうです。木登りの理由と
 して、体温調節のための日光浴および生息地の監視と考えられています。
 Vladimir Dinets, Adam Britton, and Matthew Shirley (2014)
 Climbing behaviour in extant crocodilians.
 Herpetology Notes 7: 3-7 論文

最古の地上性頂点捕食者ディメトロドンに隠された歯の多様性 2.08.14
  トロント大ニュース
  ディメトロドンはよく恐竜に間違えられていますが、違うことはご存じですよね。
 その歯について論文が出ています。ディメトロドンは当時の陸上生態系で頂点
 捕食者の地位を占め、肉食恐竜のようなステーキナイフ状の鋸歯がついた歯を
 持っていました。ディメトロドンの属するスフェナコドン類の歯を調べると、ずいぶ
 ん多様なことがわかりました。しかし頭蓋の形態に変化はないので、これは食性
 の変化などに関連しているということです。
 Kirstin S. Brink & Robert R. Reisz (2014)
 Hidden dental diversity in the oldest terrestrial apex predator Dimetrodon.
 Nature Communications 5, Article number: 3269 doi:10.1038/ncomms4269
 アブストラクト

ヨーロッパ下部白亜系で初めて確認された汎曲頸類ドルトカ科カメ 2.04.14
  スペイン、Morella 層(アプティアン)から産出した標本により、ドルトカ科のカメが
 記載されています。Eodortoka morellana 新属新種
 他のドルトカ科より原始的な特徴がみられるそうです。
 動画(スペイン語ですが標本や発掘の様子が見られます。約5分)
 UNED大ニュース(スペイン語)その1 その2
 A. Perez-Garcia, J.M. Gasulla, F. Ortega.(2014)
 Eodortoka morellana gen. et sp. nov., the first pan-pleurodiran turtle (Dortokidae)
 defined in the Lower Cretaceous of Europe
 Cretaceous Research Volume 48, March 2014, Pages 130-138
 http://dx.doi.org/10.1016/j.cretres.2013.12.004

兵庫県洲本市の約7000万年前の地層からオサガメ科の頭骨など発見 1.26.14
  兵庫県立人と自然の博物館 神戸新聞 NHK(動画)
  今日の古生物学会、古脊椎動物の部は”カメ祭り”と言われるほど、カメに関する
 講演が多かったのですが、その一つが報道発表されています。
 兵庫県洲本市の和泉層群北阿万層から産出したオサガメ科 Mesodermochelys
 undulatus
の頭骨を含む体骨格化石2点です。恐竜でもそうですが、ほぼ完全な頭
 骨が産出するのは、きわめて稀です。
 同種の形態的特徴をより詳細に明らかにするとともに、白亜紀オサガメ類の形態進
 化や古生態(食性など)の解明に寄与するものとしています。
 2月9日(日)から4月6日(日)まで、人と自然の博物館で公開されます。

PHENOMENA 1.10.14
  あちらのナショナルジオグラフィックサイトに、フリーのサイエンスライターBrian Switek が
 執筆しているサイトです。その時々の恐竜に関連する研究をわかりやすく解説しています。
 最新の執筆は、ワニの道具使用についてです。インドのヌマワニとアメリカのミシシッピーア
 リゲーターでは、鳥が巣作りをする時期に、その吻部に枝を載せ、鳥が枝を取りに来るのを
 待ち構える行動が確認されているそうです。
 ワニの脳でも枝という道具を使うことができ、一方鳥類ではニューカレドニアカラスのような
 明確な道具使用の例もあることから、恐竜も小さな脳とバカにされていましたが、案外高度
 な行動ができたのでは?としています。
 ほかにもいろいろありますので、のぞいてみてください。

鳥や恐竜だけではない、トカゲも一方向の呼吸 12.12.13
  ユタ大ニュース ネイチャーニュース
  哺乳類の呼吸は、気道から肺への往復で、効率はそれほど高くありません(キリン
 大変でしょうね)。一方、鳥類は肺から気嚢に呼気は流れ一方通行のため、高い呼
 吸効率になっています。恐竜でも同様だったことは最近の研究で明らかにされてい
 ます。では、この特徴は恐竜と鳥以外でどうだったのか?
 ユタ大学の Emma R. Schachner 達の研究によると、現生のサバンナオオトカゲでも
 同様な一方向の呼吸方式であることが解明されました。この特徴は両者独立して獲
 得したのでしょうか、それとも両者の共通祖先に備わっていたのでしょうか。興味は
 尽きないところです。
 Emma R. Schachner, Robert L. Cieri, James P. Butler & C. G. Farmer
 Unidirectional pulmonary airflow patterns in the savannah monitor lizard
 Nature (2013) doi:10.1038/nature12871 アブストラクト

ワニは思われていたより利口 12.05.13
  ユーレカアラート
  テネシー大Knoxville校の研究者Vladimir Dinets の研究によると、ワニはルアー
 (疑似餌)を使って狩りをするそうです。浅瀬に小枝を浮かべ、巣作りをする鳥が
 それをくわえるところを狙ってハントするそうです。これは爬虫類で道具を使う例
 として初めての報告になります。
 また、このことは恐竜の行動を理解するうえでも役に立つとしています。

ヘビの起源を内耳構造から探る 11.08.13
  サイエンス
  ヘビの起源が陸生の地中生活者だったのか、水生のモササウルス類に近縁だった
 のか、新たな化石記録が出されるたび、議論が続いています。
 今年のSVP総会では、全く異なった見地から答えをだそうとする研究がありました。
 アメリカ自然史博物館の博士課程研究生Hong-yu Yiによるものです。彼女は、水生
 のヘビは水中であらゆる方向に泳ぐことができるのだから、内耳でバランスや平衡を
 つかさどる部分の解剖構造は、陸生のヘビと異なるだろうと考えたのです。
 そして、10種の現生の陸生・水生ヘビと9種の現生トカゲの内耳をCTスキャンで調べ
 ました。すると、水生種の三半規管は前庭とかなり離れていることがわかりました。
 一方、陸生種の三半規管は部分的に前庭と癒合しているそうです。
 この前提で、8500万年前の化石種Dinilysia の頭骨をCTスキャンすると、内耳構造は
 現生陸生種のクラスターに含まれることがわかりました。このことから、ヘビの陸生・
 地中生活者説を裏付けるとしています。

Ignotosaurus、三畳紀アルゼンチンの新しいシレサウルス科 10.10.13
  シレサウルス類は恐竜ではありませんが、恐竜に近い種類の主竜類です。
 Ignotosaurus fragilis というシレサウルス科を記載しています。
 Ricardo N. Martinez, Cecilia Apaldetti, Oscar A. Alcober, Carina E. Colombi,
 Paul C. Sereno, Eliana Fernandez, Paula Santi Malnis, Gustavo A. Correa
 & Diego Abelin (2013)
 Vertebrate succession in the Ischigualasto Formation. Basal sauropodomorphs
  and the vertebrate fossil record of the Ischigualasto Formation (Late Triassic:
 Carnian-Norian) of Argentina.
 Journal of Vertebrate Paleontology Memoir 12: 10-30
 DOI:10.1080/02724634.2013.818546 アブストラクト

歩行するアリゲーターにおける肩帯と前肢の3次元骨格運動学 9.22.13

中国、遼寧省から産出した新標本に基づく、Philydrosaurus(双弓類、コリストデラ類)の
  骨学および個体発生
 9.21.13

島根県隠岐から2千万年前、マチカネワニの祖先の椎骨 9.13.13
  朝日新聞 中國新聞 日本経済新聞
  島根県立三瓶自然館の河野繁範学芸員が7月中旬、世界ジオパーク登録の準備作業で隠
 岐諸島の動植物を調査中に、隠岐の島町北部の海岸にあった30センチ大の岩石の中から見
 つけたとのことです。
 見つかったのは第3、第4胸椎とのことです。推定体長7mに達するそうです。
 同館で9月14日〜9月29日に展示されます。

ジュラ紀の顎-どのようにワニ類は恐竜の背後で繁栄したか 9.12.13
  ブリストル大 ロンドン大
  ワニ類があらゆる環境に適応した顎を進化させることにより、三畳紀末の絶滅を乗り切り、
 ジュラ紀に繁栄したこと。また白亜紀にも繁栄のピークに達したが、それは顎の多様化よりも
 体の他の部分の多様化によることが大きかったことを紹介しています。
 Thomas L. Stubbs, Stephanie E. Pierce, Emily J. Rayfield and Philip S. L. Anderson.(2013)
 Morphological and biomechanical disparity of crocodile-line archosaurs following
 the end-Triassic extinction
 Proceedings of the Royal Society B doi: 10.1098/rspb.2013.1940 アブストラクト(論文フリー)

白亜紀ゴビ産のトカゲ記載 8.10.13
  Desertiguana gobiensis あまりにまんまの学名なので、笑ってしまいました。
 V. R. Alifanov (2013)
 Desertiguana gobiensis gen. et sp. nov., a new lizard
 (Phrynosomatidae, Iguanomorpha) from the Upper Cretaceous of Mongolia.
 Paleontological Journal 47(4): 417-424 DOI: 10.1134/S0031030113040023
 アブストラクト

ヨウスコワニのゲノム解明 8.10.13
 BGI PHYSORG
  Alligator sinensis (ヨウスコウアリゲーター・ヨウスコウワニ)のゲノムが解明されました。
 浙江省の自然保護区に生息するサンプルからとられたものです。2.3ギガビットのゲノム
 配列の中に22,000の遺伝子があるそうです。その結果、たとえばなぜワニが長時間水中
 に潜っていられるか解明されました。重炭酸塩結合ヘモグロビン遺伝子の重複と言われて
 も私にはわかりませんが、たぶん酸素を運ぶ能力が高いのでは?まだ、鋭敏な感覚シス
 テムや強力な免疫系についても遺伝子レベルで解明されたそうです。
 ワニは性染色体を持たないのですが、その進化の様子も研究されているそうです。
 Qiu-Hong Wan, Sheng-Kai Pan, Li Hu, Ying Zhu, Peng-Wei Xu, Jin-Quan
 Xia, Hui Chen, Gen-Yun He, Jing He, Xiao-Wei Ni, Hao-Long Hou,
 Sheng-Guang Liao, Hai-Qiong Yang, Ying Chen, Shu-Kun Gao, Yun-Fa Ge,
 Chang-Chang Cao, Peng-Fei Li, Li-Ming Fang, Li Liao, Shu Zhang,
 Meng-Zhen Wang, Wei Dong and Sheng-Guo Fang.(2013)
 Genome analysis and signature discovery for diving and sensory properties of the
 endangered Chinese alligator.
 Cell Research (advance online publication) doi: 10.1038/cr.2013.104 論文

カメの背甲は肋骨成分のみから進化 7.10.13
  理化学研究所
  カメの背側の甲羅(背甲)は肋骨が拡張・変形してつくられ、皮骨の付加はないことが
 カメの胚発生過程の組織学的な解析と三畳紀の化石記録の調査から明らかになりま
 した。
 カメ胚では、最初に肋骨が形成されたのち、肋骨を取り巻く骨膜が拡張し、その骨膜の
 内側で板状の骨形成が起こるそうです。カメの背甲に見られる板状の骨形成は真皮層
 より下層の結合組織内で進行することが示され、これらのことから、カメの背甲は皮骨の
 成分を含まず、単に肋骨が拡張して形づくられることが立証されたそうです。
 さらに、カメと系統的に近縁な三畳紀の海生爬虫類シノサウロスファルギスが、皮骨性
 装甲とは別に、その下層に肋骨が拡張してつくられたカメ型の背甲を持っていたことを突
 き止め、化石記録からもカメ型の背甲には皮骨成分が入っていないことが支持されました。
 Tatsuya Hirasawa, Hiroshi Nagashima & Shigeru Kuratani.(2013)
 The endoskeletal origin of the turtle carapace
 Nature Communications 4, Article number: 2107 doi:10.1038/ncomms3107
 論文フリー
 参考:理化学研究所 発生・再生科学総合センター 形態進化研究グループ

トカゲ界のロックスター?=化石にジム・モリソンの名−ミャンマーで発見 6.07.13
  時事 ネブラスカ大ニュース
  ミャンマーの約3700万年の地層から発見されたもの。推定体長1.8m、体重27sとい
 いますから、小さ目のコモドオオトカゲ程度でしょうか。
 1960年代〜70年代のロックバンド、ドアーズのボーカル、モリソン(リザードキングと言
 われたため)、彼にちなんだ名で記載されています。
  Barbaturex morrisoni
 Head, J. J.; Gunnell, G. F.; Holroyd, P. A.; Hutchison, J. H.; Ciochon, R. L. (2013).
  "Giant lizards occupied herbivorous mammalian ecospace during the Paleogene
 greenhouse in Southeast Asia".
 Proceedings of the Royal Society B: Biological Sciences 280 (1763): 20130665.
  doi:10.1098/rspb.2013.0665
論文フリー

カメの甲の起源、4千万年さかのぼる 5.31.13
 ユーレカアラート(スミソニアンCell Press) スミソニアン(甲羅の進化動画あり)
 サイエンスナウ
  カメって不思議ですね!その進化の歴史の中で、いつ甲羅を背負うようになったの
 か、これまで明らかになっていません。知られる最古のカメ、2億2千万年前の中国に
 生息していたOdontochelys semitestacea にしても既に甲羅がありました。ですから、
 甲羅の起源はいまだ解明されていません。
 今回記載されたEunotosaurus africanus は、Odontochelys より4千万年さかのぼる
 約2億6千万年前の南アフリカから産出した爬虫類です。
 ところが、この生き物、カメと共通する特徴が複数あります。
 ・9個の長く伸びた胸胴椎
 ・肋骨間の筋肉が無くなっている
 ・9対の幅広くなった肋骨
 ・対になった腹肋
 論文では、Eunotosaurus をカメの直系の祖先とは言っていませんが、カメと他の爬
 虫類の間の橋渡しをする位置にあるとしています。
 Tyler R. Lyson, Gabe S. Bever, Torsten M. Scheyer, Allison Y. Hsiang &
 Jacques A. Gauthier (2013)
 Evolutionary Origin of the Turtle Shell.
 Current Biology (advance online publication)
 doi: http://dx.doi.org/10.1016/j.cub.2013.05.003

ペルム紀末の大量絶滅により主竜類の多様化が促進 5.01.13
  ワシントン大  時事
  地球史上最大といわれるペルム紀末の大量絶滅後、恐竜の祖先が含まれる主竜類
 がどのように登場し多様化したか、新しいフィールドからの研究です。
 研究ではペルム紀末から1000万年後のタンザニアやザンビアで化石調査を行い、南
 半球の四肢動物相における生物地理学的構造の連続性、クラスタリング、範囲サイズ
 および固有性の4点について分析を行っています。その結果、4点のどれもペルム紀か
 ら三畳紀にかけて増加したことがわかりました。
 重要な点は、南半球の低緯度地方だったタンザニアやザンビアに、他の地域では知ら
 れていない恐竜の先行者や主竜類の仲間が含まれていることです。
 ペルム紀末の大量絶滅により、それまでの進化の流れがリセットされ、三畳紀の生態
 的リリースにおいて主竜類は多様化の恩恵を受け、その後中生代の大半の支配者と
 なっていったとしています。
 Christian A. Sidora, Daril A. Vilhena, Kenneth D. Angielczyk, Adam K. Huttenlocker,
 Sterling J. Nesbitt, Brandon R. Peecook, J. Sebastien Steyer, Roger M. H. Smith,
 and Linda A. Tsuji (2013)
 Provincialization of terrestrial faunas following the end-Permian mass extinction
 PNAS doi: 10.1073/pnas.1302323110 アブストラクト

カメの系統、ゲノムから解明 4.29.13
  理化学研究所(プレスリリース 60秒でわかるプレスリリース)
  理化学研究所、東京医科歯科大、中国ゲノム研究機関BGIなどの共同研究により、
 カメのゲノム解析がされました。カメの系統については、従来、側爬虫類や鱗竜類、
 主竜類などの説があり、確定していませんでした。ゲノム解析からはカメは主竜類で
 ワニや恐竜の系統から分かれた時期は約2億5千万年前のペルム紀末前後という
 ことです。
 さらに、カメ類は嗅覚に関する遺伝子が多いことがわかりました。アオウミガメで254
 個、スッポンで1,137個の嗅覚受容体をコードする遺伝子があるのだそうです。これは
 イヌ(811個の嗅覚受容体)よりも特にスッポンは高い嗅覚をもつ可能性を示していま
 す。
 ?Zhuo et al.(2013)
 The draft genomes of soft-shell turtle and green sea turtle yield insights into
 the development and evolution of the turtle-specific body plan
  Nature Genetics, 2013, doi:10.1038/ng.2615 論文

板歯類海生爬虫類のヨーロッパ起源及び板歯類の破砕歯の進化 3.28.13
  チューリッヒ大
  プラコドン類の最大の特徴といえば、その歯です。平坦になった大きい歯が上顎には
 顎と口蓋に2列に、下顎には顎に1列生えています。貝類や甲殻類の殻を砕いて食べ
 ていたのでしょう。
 この特徴がいつ、どこで現れたのか、これまで明らかになっていませんでした。今回の
 研究では、幾分かの光をあてています。
 2億4600万年前のオランダ、Winterswijkの地層から発見された、プラコドン幼体頭蓋の
 非常に保存のよい標本は、これまで知られる最古のものです。頭骨長2pという小さい
 ものです。これは、テチス海西部(ヨーロッパ)がプラコドン類の起源の地であること示す
 ということです。
 この標本はエサを破砕する平たい歯をもつ他の全てのプラコドン類とは異なり、円錐状
 の尖った歯をもっています。上下の歯は互いの隙間にかみ合ったのでしょう。
 このグループの特徴は上顎の2列の歯ですが、この標本でも上顎の歯は2列です。破砕
 する歯に進化していくのは、この標本より後の時代になるようです。
 Palatodonta bleekeri と命名されています。
 James M. Neenan, Nicole Klein & Torsten M. Scheyer (2013)
 European origin of placodont marine reptiles and the evolution of crushing dentition
 in Placodontia
 Nature Communications 4,Article number:1621doi:10.1038/ncomms2633
 アブストラクト

古代の南北アメリカ間を越えた、アリゲーターの類縁 3.05.13
  SVPニュース フロリダ大
  パナマ運河の拡張工事に伴い掘削された地層から、約1900万年前のカイマン2種
 が記載されました。中米で採集された最初のワニ類であるとともに、南北アメリカの
 ワニ類の進化のギャップを埋めるものです。また、このことは、北米から哺乳類が南米
 に移動分散するより1千万年も前に南米から北米に分散したことを示すものです。カイ
 マンは余分な塩分を体外に排泄する能力を欠き、淡水環境に制限されるため、当時
 南北アメリカ大陸は、これまで考えられていたより陸地が近づいていたのかもしれま
 せん。
 1種はCulebrasuchus mesoamericanus と命名されています。
 Hastings, Alexander K, Jonathan I Bloch, Carlos Jaramillo, Aldo F Rincon, and
 Bruce J. MacFadden.(2013)
 Systematics and biogeography of crocodylians from the Miocene of Panama.
 Journal of Vertebrate Paleontology, 33(2):1-125.
  http://www.tandfonline.com/toc/ujvp20/33/2

独、シュトゥットガルト産の謎の主竜類、 Dyoplax arenaceus の再評価 2.27.13
  完模式標本の写真を見ると、いかにも小型のワニのように見えますね。従来、産地がシュ
 トゥットガルトとされていたのを、シュトゥットガルト-フォイエルバッハとしています。分類は、
 ワニ形類ではなく、 クルロタルシ類、偽鰐類のErpetosuchus と共通する重要な特徴を有す
 ることがわかりました。暫定的にエルペトスクス科になるとしています。
 Michael W. Maisch, Andreas T. Matzke & Thomas Rathgeber (2013)
 Re-evaluation of the enigmatic archosaur Dyoplax arenaceus O. Fraas, 1867 from
 the Schilfsandstein (Stuttgart Formation, lower Carnian, Upper Triassic) of Stuttgart,
 Germany.
 Neues Jahrbuch fur Geologie und Palaontologie - Abhandlungen 267(3): 353-362
 DOI: http://dx.doi.org/10.1127/0077-7749/2013/0317 アブストラクト
 参考:スフェノスクス科とする先行論文

古脊椎動物学報2013年第51巻第1号 2.02.13
 Xinpusaurus の分類 pp.17-23
 LIU Jun (2013)
 On the taxonomy of Xinpusaurus (Reptilia: Thalattosauria)
 タラットサウルス類のXinpusaurus はこれまで3種が記載されていました。その完模式標本等を
 再検討した結果、X. bamaolinensis と X. kohi はX. suni のジュニアシノニム(新参異名)としてい
 ます。 論文

 タラットサウルス科の新属種Concavispina biseridens記載 pp.24-28
 ZHAO Li-Jun, LIU Jun, LI Chun, HE Tao (2013)
 A new thalattosaur, Concavispina biseridens gen. et sp. nov. from Guanling, Guizhou, China
 中国貴州省関?Xiaowa(小凹)層から産出した標本に基づき記載しています。Xinpusaurus
 近縁としています。 論文

モロッコ、ウーレド・アブドゥーン盆地ヤプレシアン(始新世前期)から産出した、ウミガメ科
  Puppigerus camperi  1.17.13
  ウーレド・アブドゥーン盆地は、カサブランカの南東約100qに位置し、ここ10年で豊富な古脊椎
 動物化石が産出しているそうです。Puppigerus camperi は始新世に生息していたウミガメで、こ
 れまで標本は英やベルギーで産出しています。
 今回記載されたのは殆ど完全な頭骨です。この発見により、これまで同盆地から知られていた、
 豊富なカメ化石群集にさらに知見をもたらすとともに、古第三紀北西ヨーロッパのウミガメ相との
 近縁関係を示唆するものとしています。
 Haiyan Tong, Ren Hirayama(平山廉) and Jerome Tabouelle(2012)
 Puppigerus camperi (Testudines: Cryptodira: Cheloniidae) from the Ypresian (Early Eocene) of
 Ouled Abdoun basin, Morocco
 Bulletin de la Societe Geologique de France December 2012 v. 183 no. 6 p. 635-640
 doi: 10.2113/gssgfbull.183.6.635 アブストラクト

中耳腔の形態は、カメの水生起源と一致している 1.15.13
  Katie L. Willis, Jakob Christensen-Dalsgaard, Darlene R. Ketten & Catherine E. Carr (2013)
 Middle Ear Cavity Morphology Is Consistent with an Aquatic Origin for Testudines.
 PLoS ONE 8(1): e54086 doi:10.1371/journal.pone.0054086 論文

最古のメトリオリンクス科ワニ形類、記載 1.09.13
  ディスカバリー
  英南東部に広がるOxford Clay層から産出した、メトリオリンクス科ワニ形類が記載されてい
 ます。Tyrannoneustes lythrodectikos 新属新種
 Mark T. Young, Marco Brandalise de Andrade, Stephen L. Brusatte,
 Manabu Sakamoto & Jeff Liston (2013)
 The oldest known metriorhynchid super-predator: a new genus and species
 from the Middle J urassic of England, with implications for serration and
 mandibular evolution in predacious clades.
 Journal of Systematic Palaeontology (advance online publication)
 DOI:10.1080/14772019.2012.704948 アブストラクト

新しいシンクロトロンで、先史のゴーストを解明 12.19.12
  マンチェスター大 Dinosaur CSI
  シンクロトロンといっても、従来のCTスキャンとどう違うの?と、疑問が出ると思います。スタンフォー
 ド大の高速蛍光シンクロトロン装置では、僅かなリンの痕跡も浮かび上がらせることができるそうで
 す。
 ニュースでは、500万年前のトカゲの全身皮膚化石を試料に用いた結果が出ています。これまで皮
 だけと思われていましたが、スキャンにより歯列の化学的痕跡が判明しました。歯列配置により、初
 めてこのトカゲの種類を同定することができたそうです。
 N.P. Edwards, R.A. Wogelius, U. Bergmann, P. Larson, W.I. Sellers, P.L. Manning. 2012.
 Mapping Prehistoric Ghosts in the Synchrotron.
 Applied Physics A, DOI 10.1007/s00339-012-7484-3 論文

恐竜を絶滅させた小惑星は、"オバマドン"も一掃した。 12.11.12
  イェール大
  恐竜を絶滅させた小惑星衝突は、恐竜だけに影響があったわけではなく、ヘビやトカゲなど他の爬
 虫類や哺乳類、鳥類などにも著しい影響を及ぼしています。しかし、ヘビやトカゲに対する影響は、こ
 れまで考えられてきたより、かなり深刻なものだったことが明らかになりました。かれらの83%が絶滅
 に追いやられ、体重1ポンド以上の種は生き残らなかったそうです。
 研究によると、ニューメキシコからカナダ・アルバータに至る北米には白亜紀末に21種の既知のヘビ、
 トカゲの種と新たに記載された9種が生息していました。当時広範囲に生息していたトカゲの分類群
 Polyglyphanodontia は、当時のトカゲ類の40%を占め、その中には今回記載されたObamadon gracilis
 もいたわけです。これは体長30p以下でおそらく昆虫食だったそうです。
 Nicholas R. Longrich, Bhart-Anjan S. Bhullar, and Jacques A. Gauthier
 Mass extinction of lizards and snakes at the Cretaceous?Paleogene boundary
 PNAS doi: 10.1073/pnas.1211526110 アブストラクト

大規模な、遺伝子及び種のサンプリングにより、トカゲ及びヘビ(鱗竜類)の系統を解決
  9.20.12
 Stony Brook大ニュース
  これまでの分子による系統解析では、形態学的仮説とと非常に異なった系統になることが
 示唆されていますが、多くの側面は分子データからは不確かだそうです。この研究では、44の
 核遺伝子(33717塩基対)、161の鱗竜類種を含む、前例のない大規模なサンプリングによる系統
 解析が行われています。
 その結果、殆どの鱗竜類の系統関係といくつかの驚くべき結果が明らかになりました。例えば
 他の最近の殆どの研究とは対照的に、ディバムストカゲ科及びヤモリ類は、他の全ての鱗竜類の
 姉妹群となる。また、メクラヘビ類は他のヘビ類に対し側系統であり、原始的なヘビは掘穴動物で
 その後地表の生息地を再侵略したことを示唆している(ヘビの起源は地下から)。最後に、この研
 究では、大規模なデータにもかかわらず、いくつかのクレードは貧弱にしか支持されないことがわ
 かりました。この分析では、貧弱な支持のクレードは、個々の遺伝子はしばしば相反する関係を
 示しているため、比較的短い枝に関連付けられていることを示している。これらの後者の結果は、
 大規模な系統遺伝子データセットでと系統発生を解決しようとする全ての研究にとって重要な意
 味を持っているとしています。
 John J. Wiens, Carl R. Hutter, Daniel G. Mulcahy, Brice P. Noonan, Ted M. Townsend,
 Jack W. Sites, Jr. and Tod W. Reeder (2012)
 Resolving the phylogeny of lizards and snakes (Squamata) with extensive sampling of
 genes and species.
 Biology Letters (advance online publication) doi:10.1098/rsbl.2012.0703 1744-957X
 アブストラクト

スペイン、下部白亜系から潜頸類カメ記載 9.20.12
  スペイン、アラゴン州、テルエル県の都市Galveからは上部ジュラおよび下部白亜の脊椎動物
 化石が豊富に産出しているそうですが、カメについては殆ど記載されてこなかったそうです。
 下部白亜系(バレミアン)の関節した骨格により、記載されています。
 Galvechelone lopezmartinezae 新属新種
 ADAN PEREZ-GARCI, XABIER MURELAGA(2012)
 Galvechelone lopezmartinezae gen. et sp. nov., a new cryptodiran turtle in the
 Lower Cretaceous of Europe
 Palaeontology Volume 55, Issue 5, pages 937-944,DOI: 10.1111/j.1475-4983.2012.01154.x
 アブストラクト
 参考:EAVP2012アブストラクト集
     イベリア半島の中生代カメ類(記載標本の写真や説明あり)
     両方とも大部のファイルなので、学名で検索してご覧ください。

ヨーロッパ後期ジュラ紀のメトリオリンクス科ワニ形類、Dakosaurus 属とPlesiosuchus 属の
  頭蓋骨学と摂食生態学 9.19.12
  大英自然史博物館
  メトリオリンクス科は、中期ジュラ紀から前期白亜紀にかけてヨーロッパや北米ほかの地域に
 生息していた海生ワニ形類です。通常のワニから想像されるような背中の骨板はなく、四肢は、
 ヒレ状になっていたそうです。DakosaurusPlesiosuchus は大型で頑丈な頭蓋と強い咬合力
 をもち、後期ジュラ紀の海洋で頂点捕食者となっていたそうです。
 この研究では、両属の完模式標本の包括的な記載および系統的リビジョンを行っています。
 Dakosaurus manselii は、元々Plesiosuchus manselii として記載されていたものが、ジュニアシ
 ノニムとされたそうです。しかし、ここではPlesiosuchus 属を復活させるとしています。
 両属の同所性について、それは現生の北大西洋のシャチ類と同様であるとしています。その大型
 タイプでは歯冠咬耗が無いのに対し、小型タイプでは広範囲な咬耗があり、この形態機能的コン
 プレックスが食性の指標となると仮定すれば、Plesiosuchus は他の爬虫類を摂食することに特殊
 化したのだろうが、一方Dakosaurus はジェネラリストで吸引食者だったかもしれないとしています。
 これはワニ形類で初の吸引食者ということだそうです。
 このような食性の違いにより、両属は同じ生態系で共存できたということです。
 Young MT, Brusatte SL, de Andrade MB, Desojo JB, Beatty BL, et al. (2012)
 The Cranial Osteology and Feeding Ecology of the Metriorhynchid Crocodylomorph Genera
 Dakosaurus and Plesiosuchus from the Late Jurassic of Europe.
 PLoS ONE 7(9): e44985. doi:10.1371/journal.pone.0044985 論文
 参考:Plesiosuchus manselii はジュニアシノニムとしたのはこの論文のようです。
 M. T. Young, S. L. Brusatte, M. Ruta and M. B. Andrade. 2010.
 The evolution of Metriorhynchoidea (mesoeucrocodylia, thalattosuchia): an integrated approach
 using geometric morphometrics, analysis of disparity, and biomechanics.
 Zoological Journal of the Linnean Society
158:801-859 アブストラクト 論文

ヘビの起源、解明へ 7.27.12
  イェール大ニュース
  ヘビの起源については、議論が続いてきました。モササウルスのような海生爬虫類から
 進化したという説、地中にもぐって生活するトカゲから進化したとする説に大別されます。
 白亜紀のヘビ、Coniophis precedens は最も初期のヘビとして知られていますが、これまで
 単離した椎骨のみから記載されたままでした。
 今回、イェール大のNicholas Longrich らが上顎、下顎、追加された椎骨が報告されました。
 その結果、このヘビは既知のヘビの中で最も原始的なものであることがわかりました。
 頭骨はトカゲとヘビの中間的形態を示しています。鉤状の歯と下顎の関節から、自分より大
 きい、柔らかい体の哺乳類などのエサを食べていたことが示されます。しかし上顎は頭骨に
 固定されて動かきません。頭骨はトカゲのようであり、胴体はヘビという移行的な形態でし
 た。このヘビは大陸の氾濫原で、もちろん陸地で生息していたということです。
 Nicholas R. Longrich, Bhart-Anjan S. Bhullar & Jacques A. Gauthier (2012)
 A transitional snake from the Late Cretaceous period of North America
 Nature(2012)doi:10.1038/nature11227 アブストラクト
 
三畳紀主竜類の、頭部より後方の骨格が含気である証拠の再評価および鳥類呼吸の早期進化
  3.31.12
  テスト版に入れました。

Toxicofera爬虫類の毒システムの構造・機能の多様化 3.25.12
  爬虫類の毒システムの起源と多様化について記載されています。高次の分子系統学解析により、
 ヘビの祖先に毒システムがあったとしています。また、トカゲの中の毒の多様化について議論されて
 います。
 Bryan G. Fry, Nicholas R. Casewell, Wolfgang Wuster, Nicolas Vidal, Bruce Young,
 Timothy N.W. Jackson (2012)
 The structural and functional diversification of the Toxicofera reptile venom system.
 Toxicon (advance online publication)
 http://dx.doi.org/10.1016/j.toxicon.2012.02.013

キップリングに献名のワニ記載 3.25.12
  ブリストル大
  ラドヤード・キップリングは、インドの密林を舞台にした、狼少年モーグリが主人公の小説「ジャング
 ル・ブック」などで知られる、英の文豪です。
 記載されたのは、英ドーセット州で2009年に採集された、1億3千万年前のワニの頭骨。
 Goniopholis kiplingi と命名されています。
 MARCO BRANDALISE DE ANDRADE, RICHARD EDMONDS, MICHAEL J. BENTON and
 REMMERT SCHOUTEN
 A new Berriasian species of Goniopholis (Mesoeucrocodylia, Neosuchia) from England,
 and a review of the genus
 Zoological Journal of the Linnean Society Volume 163, Issue Supplement s1,
 Article first published online: 12 JAN 2012 論文

パキプレウロサウルス類 Anarosaurus heterodontus の頭より後ろの形態と成長 3.21.12
  オランダ、Winterswijkの下部Muschelkalk層産出の鰭竜類、パキプレウロサウルス類Anarosaurus
 heterodontus
新標本に基づき議論しています。
 Nicole Klein (2012)
 Postcranial morphology and growth of the pachypleurosaur Anarosaurus heterodontus (Sauropterygia)
 from the Lower Muschelkalk of Winterswijk, The Netherlands.
 Palaontologische Zeitschrift (advance online publication) DOI: 10.1007/s12542-012-0137-1
 アブストラクト

ワニの噛む力は地球上最大 3.17.12
  ナショナルジオグラフィック(日) フロリダ州立大
  ワニの噛む力測定、TV番組で見たことがあります。絶対噛みつかれたくない数値がでていました。
 フロリダ州立大学のGreg Erickson らの測定によると、イリエワニの噛む力は、1?あたり260s。この
 数値はT-REXにも匹敵したかもということです。
 Erickson GM , Gignac PM , Steppan SJ , Lappin AK , Vliet KA , et al. (2012)
  Insights into the Ecology and Evolutionary Success of Crocodilians Revealed through Bite-Force
 and Tooth-Pressure Experimentation.
 PLoS ONE 7(3): e31781. doi:10.1371/journal.pone.0031781論文

Gracilisuchus stipanicicorum の後肢解剖学 3.19.12
  Gracilisuchus stipanicicorum はワニ形類のステムとなる偽鰐類で、中-後期三畳紀、アルゼンチン
 のイシグアラスト・ビア・ユニオン盆地でから産出し、1972年にRomerにより記載されたそうです。
 この腰帯および後肢を他の主竜類タクサと比較し、新情報を得ています。
 Lecuona, A. and J. B. Desojo (2011)
 Hind limb osteology of Gracilisuchus stipanicicorum (Archosauria: Pseudosuchia).
 Earth and Environmental Science Transactions of the Royal Society of Edinburgh 102: 105-128.
 アブストラクト

メソサウルス類の胎生を示唆する、最古の有羊膜類の胚化石 3.15.12
  有羊膜類の体化石は後期石炭紀まで遡りますが、その卵や胚化石は非常に稀で、これまで最古の
 化石は三畳紀のものでした。今回記載された化石は、ウルグアイとブラジルの前期ペルム紀のメソサウ
 ルス類の胚です。成体個体の中に、卵殻が認められる卵と、部分的にしか関節していないが、非常に
 良好な保存状態の胚がありました。このことから、メソサウルス類は胎生あるいは胚がより発達した段
 階で産卵したことが示唆されるとしています。
 Pineiro, G., J. Ferigolo, M. Meneghel, and M. Laurin, 2012,
 The oldest known amniotic embryos suggest viviparity in mesosaurs.
 Historucal Biology. Available online March 7, 2012, DOI: 10.1080/08912963.2012.662230
 アブストラクト

Longisquama やはり鳥類と相同な羽毛だった(?) 3.07.12
 ニューサイエンティスト
  三畳紀、キルギスタンの滑空爬虫類 Longisquama の羽はその名のとおり長く伸びた鱗なのか、鳥
 類と同様な羽毛なのか議論があり、羽毛ではないと決着がついていたように記憶しています。
 この論文では、現存Longisquama 全標本ついてその化石化、発達および機能について、「羽」は鳥類
 の羽毛と特徴を共有するとしています。
 Michael Buchwitz and Sebastian Voigt (2012)
 The dorsal appendages of the Triassic reptile Longisquama insignis:
 reconsideration of a controversial integument type.
 Palaontologische Zeitschrift (advance online publication)
 DOI: 10.1007/s12542-012-0135-3 アブストラクト

恐竜時代の最後に生息していたカメ記載 2.29.12
  バルセロナ自治大
  ピレネー山脈のある地域は、6500〜7000万年前の恐竜をはじめとする骨化石や足跡化石、卵
 などが豊富なことで知られているそうです。中でもTremp盆地は最も化石群集が豊富な地域の一
 つということです。
 白亜紀から現代に至るまで生態系を構成していた主要な生物に、カメがあります。この地域はカメ
 の産出が豊富なことでも知られています。しかし完全な甲羅を発見することは稀で、甲羅内に骨を
 発見することはさらに稀だそうです。
 記載されたカメは2008・2009年の調査でBarranc de Torrebilles の別々のサイトから採集された
 甲に基づいたもので、Polysternon 属の新種、Polysternon isonae と命名されています。
 甲長約50cm、甲幅約40cmということです。同属にはほかにP. provinciale および P. atlanticum
 (プラス恐らく3番目となるP. mechinorum)がありますが、フランス南部とイベリア半島にのみ分布
 し、淡水の河川や湖での生息に適応していたそうです。
 J. Marmi, A.H. Lujan, V. Riera, R. Gaete, O. Oms, A. Galobart(2012)
 The youngest species of Polysternon: A new bothremydid turtle from the uppermost
 Maastrichtian of the southern Pyrenees
 Cretaceous Research Volume 35, June 2012, Pages 133‐142
 http://dx.doi.org/10.1016/j.cretres.2011.12.004

マダガスカル北部から、世界最小のカメレオン、記載 2.16.12
  読売新聞 BBC ナショナルジオグラフィック(日) ナショナルジオグラフィック(日)
  手乗りカメレオンならぬ、指乗りカメレオン。マッチの頭に乗っている写真も公開されています。
 Brookesia minima と命名されています。指の先のカメレオンは体長16mm、論文では雌雄とも
 最大体長30o未満としています。島の法則の極端な例でしょうか。
 Glaw F, Kohler J, Townsend TM, Vences M (2012)
 Rivaling the World's Smallest Reptiles: Discovery of Miniaturized and Microendemic New
 Species of Leaf Chameleons (Brookesia) from Northern Madagascar.
 PLoS ONE 7(2): e31314. doi:10.1371/journal.pone.0031314 論文

浮いたか、沈んだか?海生ワニのタフォノミー 2.07.12
  Susan R. Beardmore, Patrick J. Orr, Tom Manzocchi and Heinz Furrer (2012)
 Float or sink: modelling the taphonomic pathway of marine crocodiles
 (Mesoeucrocodylia, Thalattosuchia) during the death?burial interval.
 Palaeobiodiversity and Palaeoenvironments (advance online publication)
 DOI: 10.1007/s12549-011-0066-0
 アブストラクト

和歌山県で初めてのワニの歯化石、小学6年生が発見 2.04.12
  和歌山県立自然博物館
  昨年5月2日、和歌山県有田市千田(ちだ)の湯浅層(約1億3千万年前)で小学6年生の桑山
 賢周(けんしゅう)君が発見したもの。真鍋真研究主幹によりワニの歯と結論づけられたそうで
 す。同博物館玄関ホールで2月7日(火)から4月8日(日)まで展示されます。

モロッコから新種ワニ類 2.01.12
  ミズーリ大ニュース
  エウスクス類の新属新種が記載されています。
 Aegisuchus witmeri
 後期白亜紀の前期((Cenomanian) KemKem層から産出。
 Holliday CM, Gardner NM (2012)
 A New Eusuchian Crocodyliform with Novel Cranial Integument and Its Significance for the
 Origin and Evolution of Crocodylia.
 PLoS ONE 7(1): e30471. doi:10.1371/journal.pone.0030471 論文

中国雲南省からエオサウロプテリギア類 1.31.12
  雲南省羅平、中期三畳紀の地層から産出したエオサウロプテリギア類
 Largocephalosaurus polycarpon が記載されています。
 Long Cheng, Xiaohong Chen, Xiongwei Zeng and Yongjian Cai
 A new eosauropterygian (Diapsida: Sauropterygia) from the Middle Triassic of Luoping,
 Yunnan Province
 JOURNAL OF EARTH SCIENCE Volume 23, Number 1, 33-40, DOI: 10.1007/s12583-012-0231-z
 アブストラクト

"最古のトカゲ類"Tikiguania estesi は、最古ではなかった 1.27.12
  Tikiguania estesi はインド、South Rewa 盆地の後期三畳紀の地層、Tiki層から産出した、ト
 カゲ類で、2006年に殆ど完全な左下顎枝に基づいて記載されました。アガマ科やカメレオン科
 につながる原始的なトカゲとされています。南オーストラリア博物館のMark N. Hutchinson らは
 この下顎と原生のトカゲの形態と分子上の系統解析をしてみました。その結果、このトカゲは現
 生のトカゲと殆ど見分けがつかず、もしそうなら、2億1千6百万年の間、形態が変わらなかった
 ことになりますが、これはありそうにないことです。
 Mark N. Hutchinson らは、Tikiguania estesi は実は第三紀後期か第四紀のアガマ科トカゲで
 あり、それが、三畳紀の地層からもたらされた堆積層で保存されたものとしています。
 どうも、トカゲが三畳紀にいた証拠はがなくなってしまったようです。
 Mark N. Hutchinson, Adam Skinner and Michael S. Y. Lee
  Tikiguania and the antiquity of squamate reptiles (lizards and snakes)
 Biology Letters (advance online publication) doi: 10.1098/rsbl.2011.1216
 アブストラクト(論文フリー)
 COSMOS
 参考P. M. DATTA and SANGHAMITRA RAY(2006)
    EARLIEST LIZARD FROM THE LATE TRIASSIC (CARNIAN) OF INDIA
    Journal of Vertebrate Paleontology 26(4):795-800. 2006

後期三畳紀、ブラジル南部からアエトサウルス類 1.21.12
  Aetobarbakinoides brasiliensis という新属新種が記載されています。
 JULIA B. DESOJO, MARTIN D. EZCURRA, & EDIO E. KISCHLAT(2012)
 A new aetosaur genus (Archosauria: Pseudosuchia) from the early Late Triassic of
 southern Brazil
 Zootaxa 3166: 1?33 1ページ目プレビュー

真の胎盤をもつトカゲ 10.06.11
 ニューサイエンティスト
  母体から胎盤をとおし子に栄養を供給するシステムは、哺乳類だけが進化上獲
 得したというのが、常識でした。ところが、現生トカゲでそのシステムを持つものが
 発見されました。
 胎生の爬虫類はよくありますが、卵黄の栄養で成長するものです。アンゴラ、ザンビ
 ア、コンゴに生息するTrachylepis ivensii という、小型のトカゲはわずか1mmの卵を
 排卵するのですが、その卵黄の少ない卵は卵管に埋まり、母体から栄養を供給され
 て成長するのだそうです。恐竜にもこんなものがいたら、と、想像してしまいます。
 Daniel G. Blackburn, Alexander F. Flemming
 Invasive implantation and intimate placental associations in a placentotrophic
 african lizard, Trachylepis ivensi (scincidae)
 Journal of Morphology Early View DOI: 10.1002/jmor.11011アブストラクト

ポーランド南部から後期三畳紀の主竜類 8.18.11
  テスト版にアップしました。

白山市桑島産出のカメ化石、カッパケリス 8.0111
  白山市
  石川県白山市桑島の手取層群赤岩層(約1億3千万年前)で大倉正敏氏が採集した
 カメ化石が、スッポンにきわめて近縁だがより祖先的な新属新種とわかりました。
 Kappachelys okurai という学名がつくそうです。属名はもちろん河童+亀です。

カメの起源、マイクロRNA解析から、鱗竜類判明 7.21.11
  ネイチャーニュース イェール大
  カメの進化的起源は、謎に包まれています。化石記録では、登場した時には既にカメ
 であったからです。その系統的な位置づけは、側爬虫類から双弓類までいろいろな考え
 方があります。これまでの遺伝子面からの研究では、双弓類を支持しているそうです。
 その中でも、ワニや鳥類に近い主竜類とする仮説とヘビやトカゲに近い鱗竜類とする仮
 説があるそうです。
 今回の研究ではmiRNA(マイクロRNA)を用いて、その系統を解析しています。miRNAは、
 他の遺伝子の発現を調節する働きをするので、いったんそのクレードが確立すると、変化
 することは少ないそうです。ヘビやトカゲに近いとする(鱗竜類Lepidosauria)仮説に軍配が
 あがりました。
 Tyler R. Lyson, Erik A. Sperling, Alysha M. Heimberg, Jacques A. Gauthier, Benjamin L. King, and Kevin J. Peterson
 MicroRNAs support a turtle + lizard clade
 Biol Lett 2011 : rsbl.2011.0477v1-rsbl20110477.
 参考:ウィキペディア(miRNA)

チュパカブラの名がついたカメ 12.02.10
  未確認モンスターの仲間、チュパカブラの名をもらったカメが記載されています。特に、
 血を吸う食性が確認されたわけではありません。
  Chupacabrachelys complexus 新属新種(ボトレミス科)
  属名は、2008年にテキサスとメキシコ国境地域でチュパカブラに血を吸われたと間違
 われた、疥癬にかかったコヨーテの頭骨に、その頭骨が似ているから(非常に狭く、平たく
 三角形をしている。論文の図版を見ると、確かに似ています)。参考
 種小名は、著者らに模式標本などの採集やプレパレーションに多大な時間を費やさせた、
 こみいった標本採集旅行から。
 Thomas M. Lehman and Steven L. Wick (2010).
 Chupacabrachelys complexus, n. gen. n. sp. (Testudines: Bothremydidae), from the Aguja
 Formation (Campanian) of West Texas".
 Journal of Vertebrate Paleontology 30 (6): 1709-1725.
 doi:10.1080/02724634.2010.520782. アブストラクト

毒の注入は溝から管へ 11.19.10
  ネイチャーニュース
  毒といえばヘビ。ヘビの毒は毒牙内部の管を通って獲物の体内に注入されます。その
 システムは中新世、最古の毒蛇化石標本では既に出来上がっていたそうです。しかし、
 最初から完全なシステムが出来上がっていたとは考えにくいものです。恐らく牙表面の
 溝を伝って毒が流れる状態から進化したのだろうと推定されているそうです。

 話変わって後期三畳紀のアメリカにUatchitodon という主竜形類の絶滅爬虫類が生息し
 ていました。
 しかもこの爬虫類は歯のみで知られているのだそうです。この歯の構造から恐らく毒牙
 だったとされています。
 主な産地は3か所、ヴァージニア州のTomahawk、ノースカロライナ州のMoncureそして
 アリゾナ州のPlacerias 発掘地です。すべて後期三畳紀ですが、Tomahawkの年代が一
 番古いそうです。
 この3か所から産出した歯を比べると、Tomahawk産の歯表面は溝状であるのに対し、
 他の産地では完全に管状になっているということです。これは歯の構造が発達したことを
 示すものということです。恐らく他の主竜類の系列でもこのような進化があったのではな
 いかということです。
 Jonathan S. Mitchell, Andrew B. Heckert and Hans-Dieter Sues
 Grooves to tubes: evolution of the venom delivery system in a Late Triassic “reptile”
 Naturwissenschaften DOI: 10.1007/s00114-010-0729-0

卵生から胎生へ進化中のトカゲ 9.02.10
  ナショナルジオグラフィック(日) ニューサイエンティスト
  オーストラリア東部に生息するトカゲ、Saiphos equalis は、その生息地域により
 卵生のものと胎生のものがいます。海岸沿いの温暖な地に生息するものは卵生
 ですが、山間部の寒冷地に生息するものは、子を産むのだそうです。
 このトカゲを研究したイーストテネシー州立大学の生物学者ジェームズ・スチュワート
 によると、このような種の研究から生殖形態の移行がどう起こったか解明できるの
 だそうです。
 James R. Stewart, Ashley N. Mathieson, Tom W. Ecay, Jacquie F. Herbert, Scott L. Parker,
  Michael B. Thompson

 Uterine and eggshell structure and histochemistry in a lizard with prolonged
 uterine egg retention (Lacertilia, Scincidae, Saiphos)
 Journal of Morphology DOI: 10.1002/jmor.10877 アブストラクト

タンザニアから産出した、哺乳類のような歯をしたワニ 8.05.10
 ネイチャー オハイオ大ニュース NSF(動画あり) 朝日新聞 NHK 
  タンザニア南西部の「中期」白亜紀約1億年前のワニ、異歯性が強く、哺乳類の
 ような歯をしています。既知のワニ類とは異なって顎の内転時に歯冠どうしがある
 程度接触し、咬合の複雑性のレベルが哺乳類およびその絶滅した近縁種に匹敵
 していたと考えられるそうです。
 小型の陸上性ワニで、小動物や昆虫なども食べていたと考えられています。
 Pakasuchus kapilimai 新属新種
 属名はPaka スワヒリ語でネコ。短く低い頭蓋から。+souchos ギリシャ語でワニ
 種小名はRukwa Rift Basin Project.の中心を担った故Saidi Kapilima(ダルエスサラー
 ム大教授)に献名。

太古の海生爬虫類は恒温動物の可能性 6.14.10
  ナショナルジオグラフィック(日) 毎日新聞 INSU(仏)
  海生爬虫類は恒温動物だった可能性があると、11日のサイエンスに論文掲載されて
 います。
 動物の体温を示す指標となる血液の酸素同位体比を反映すると考えられる、歯の酸素
 同位体比を調べる手法ということです。体温は35〜39度と考えられるといいますから、
 かなり活発な活動をしていたのでしょう。
 Bernard et al.(2010)
 Regulation of Body Temperature by Some Mesozoic Marine Reptiles
 Science 11 June 2010:Vol. 328. no. 5984, pp. 1379 - 1382
 DOI: 10.1126/science.1187443 アブストラクト

カメは側爬虫類だった 6.14.10
  カメの起源については、いろいろな説があります。ワニや恐竜・鳥類に連なる系統と
 する説がある一方、トカゲやムカシトカゲなど鱗竜類の系統とする説、さらに双弓類と
 するもの。今回の研究では、基盤的カメ類Proganochelys quenstedti と側爬虫類
 Eunotosaurus africanus を含めたトカゲ・ムカシトカゲ類データセットを再分析したとこ
 ろ、カメ類は双弓類をはずれてしまったそうです。
 Tyler R. Lyson, Gabe S. Bever, Bhart-Anjan S. Bhullar, Walter G. Joyce, and Jacques A. Gauthier
 Transitional fossils and the origin of turtles
 Biol. Lett. published online before print June 9, 2010, doi:10.1098/rsbl.2010.0371
 アブストラクト

滋賀県多賀町で180万年前ワニ歯化石を小2が発見 5.26.10
  中日新聞
  多賀町立博物館の行事、親子化石発掘体験で小2東浦由季さんが180万年前の火山灰層
 を含む古琵琶湖層群の蒲生累層の中からクロコダイル科ワニ歯化石を発見。県内6番目の
 発見。

アエトサウルス類Typothorax coccinarum の関節した骨格 5.24.10
  アパラチア州立大ニュース
 Typothorax coccinarum はコープが1875年に記載したアエトサウルス類です。恐竜ではあり
 ません。主竜類の中ではワニ類の祖先に遠縁といえばいいのでしょう。後期三畳紀に生息
 していました。
 コープが記載した時には貧弱な材料しか見つかっていなかったので、その本当の姿は今ま
 でよくわからないままでした。
 2006年にアパラチ州で関節した骨格が発掘され、記載されたことにより、これまで不明だった
 体のつくりが明らかになりました。
 まず、体長は2.5m程度、推定体重は100kg程度であり、これまで考えられていたより小型で
 した。また、その体中、アルマジロのように骨板の装甲に覆われていました。前肢は小さく、
 蟹股でしたが、後肢は大きく直立していました。
 また、この骨格から、この時代の世界各地で発見される足跡化石Brachychirotherium
 アエトサウルス類によりつけられたことが確実になりました。
 Heckert, Andrew B. , Lucas, Spencer G. , Rinehart, Larry F. , Celeskey, Matthew D. ,
  Spielmann, Justin A. andHunt, Adrian P.

 Articulated skeletons of the aetosaur Typothorax coccinarum Cope (Archosauria:
 Stagonolepididae) from the Upper Triassic Bull Canyon Formation (Revueltian: early-mid
 Norian), eastern New Mexico, USA',
 Journal of Vertebrate Paleontology, 30:3, 619 - 642 DOI: 10.1080/02724631003763524
 アブストラクト

恐竜を襲う巨大な古代ワニの生態 3.25.10
  ナショナルジオグラフィック(日) コロンバス州立大
  現在の米からメキシコにまたがる地域に約7900万年前生息していた巨大ワニ類、
 デイノスクスの生態について紹介しています。体長10mほどもあったワニの糞石発見
 や、アパラチオサウルス、アルバートサウルスの化石に、このワニによると見られる
 噛み跡が見られることなどです。

恐竜を食べるヘビ 3.02.10
  ナショナルジオグラフィック(日):来訪の記録襲い掛かる瞬間襲撃の見取り図
  インド西部、グジャラート州Dholi Dungri 村の上部白亜系(Maastrichtian)Lameta層
 から産出した、特異なヘビ化石を記載しています。そのヘビ化石は、竜脚類の卵が
 ある巣の中で発見されたのです。卵とともに、体長約50cmの孵化したヒナも一緒に
 ありました。状況から、このヘビは竜脚類のヒナを食べるために巣に入り込んだとこ
 ろ、豪雨により押し流された泥流に埋まったものと見られています。

 ヘビの体長は約3.5m。Sanajeh indicus 新属新種です。
 属名はSanaj:サンクスリットで古代の、jeh:大口 この初期のヘビの摂食能力が
 推定されることから。
 種小名はsindu  インダス川のサンクスリット名から。

 このヘビ化石は、ヘビが恐竜の孵化したてのヒナを摂食したことを示す初めての例
 です。
 論文  Wilson JA, Mohabey DM, Peters SE, Head JJ (2010)
 Predation upon Hatchling Dinosaurs by a New Snake from the Late Cretaceous
 of India.
 PLoS Biol 8(3): e1000322. doi:10.1371/journal.pbio.1000322

6千万年前、熱帯雨林で大蛇に食べられたワニ形類 2.06.10
  フロリダ大ニュース
  JVPに掲載された論文からです。
  南米コロンビア北部にある世界有数の露天掘り石炭鉱山から発見された、ディ
 ロサウルス科ワニ形類を記載しています。Cerrejonisuchus improcerus といい、
 同科のワニ形類が普通6m近くになるのに対し、わずか2m前後の体長しかなく、
 同科で最小となっています。この産地から、体長15mにもなる大蛇、Titanoboa の
 化石も発見されているため、このワニ形類はこの大蛇に捕食されていたのだろう
 ということです。一方、ディロサウルス科の吻部は通常、魚食に適応した細長いも
 のですが、Cerrejonisuchus の吻部は短く幅広いものです。もっと幅広くいろいろ
 な獲物をとっていたのだろうということです。
 Alexander K. Hastings; Jonathan I. Bloch; Edwin A. Cadena; Carlos A. Jaramillo
 A new small short-snouted dyrosaurid (Crocodylomorpha, Mesoeucrocodylia)
 from the Paleocene of northeastern Colombia
 Journal of VertebratePaleontology, 30: 1, pp.139 ? 162 アブストラクト

ワニは鳥と同様に呼吸 1.15.10
  ユタ大ニュース
  鳥・恐竜は、気嚢が備わっており、呼吸気の流れが一方向のため、効率的な呼
 吸をしています。一方、哺乳類などは、呼気・吸気は肺までで入れ替わるので、あ
 まり効率的ではありません。
 ユタ大の研究者らは、CTスキャンにより、ワニには気嚢はないが一方向の呼吸を
 している事が解明されました。このことから、一方向の呼吸は、主竜類の共通祖先
 で獲得されており、それがペルム紀末の大量絶滅をいち早く乗り越えた理由では
 ないかとしています。
 C. G. Farmer and Kent Sanders
 Unidirectional Airflow in the Lungs of Alligators
 Science 15 January 2010: Vol. 327. no. 5963, pp. 338 - 340
 DOI: 10.1126/science.1180219 アブストラクト

岐阜県高山市荘川産出のカメ化石、解析可能で国内最古と判明 1.12.10
  中日新聞
  荘川町の手取層群牛丸層から12年前に発見されたカメ化石がシネミス科でも最
 古に位置づけられるとともに、さらに年代が古いシンチャンケリス科と同様、骨間の
 すき間が少なく、全体に骨が行き渡る特徴を持ち、過渡期の新しいタイプとわかり
 ました。京大の松岡助教らの研究。日本古生物学会で発表されます。

多様な古代ワニ5種、サハラで化石発見 11.20.09
  ナショナルジオグラフィック(日) ナショナルジオグラフィックプレスリリース
  ユーレカアラート When Crocs Ate Dinosaurs 朝日新聞
  ポール・セレノらが、サハラ砂漠のワニ形類についてモノグラフを出しました。
  ボアクロック(Kaprosuchus saharicus)、ラットクロック(Araripesuchus rattoides)、
 パンケーキクロック(Laganosuchus thaumastos)という新種のほか、ダッククロック
 (Anatosuchus minor)やドッグクロック(Araripesuchus wegeneri)の新標本も発見
 されています。
 詳細はリンクのページをご覧ください。
 Paul C. Sereno, Hans C. E. Larsson 2009.
 Cretaceous Crocodyliforms from the Sahara
 ZooKeys, ZooKeys 28 (2009) Special Issue doi: 10.3897/zookeys.28.325
 アブストラクト 論文は15.9MB、27.3MBのつのバージョンでダウンロードできます。

鳥類の進化の手がかりに? 「空飛ぶ爬虫類」の新種の化石を発掘 10.15.09
 AFPBB


コモドオオトカゲより大きな古代トカゲ 10.08.09
  ナショナルジオグラフィック(日)
  9月30日に紹介した、コモドオオトカゲのオーストラリアにいた祖先についてです。

コモドオオトカゲの祖先はオーストラリアから 9.30.09
  ABC クイーンズランド博物館ニュース ユーレカアラート ナショナルジオグラフィック(日)
  これまで、インドネシアで進化してきたと考えられてきたコモドオオトカゲの起源
 について、約380万年前のオーストラリアにあった。オーストラリア大陸の化石記録
 は30万年前までで、またフロレス諸島に到達したのは、約90万年前になるそうです。
 Hocknull SA, Piper PJ, van den Bergh GD, Due RA, Morwood MJ, et al. 2009
 Dragon's Paradise Lost: Palaeobiogeography, Evolution and Extinction of the
 Largest-Ever Terrestrial Lizards (Varanidae).

 PLoS ONE
4(9): e7241. doi:10.1371/journal.pone.0007241 論文

首長竜に襲いかかる古代ザメ? 9.29.09
  ナショナルジオグラフィック(日)
  SVP発表ものの一つです。ながらくフタバスズキリュウと呼ばれていた、あの標
 本は、2006年にFutabasaurus suzukii として記載されました。
 その標本に残されていた古代サメの歯の分析から、フタバサウルスは瀕死もし
 くは死後、Cretalamna appendiculata というサメの少なくとも7匹の集団に襲われ
 ていたことが、判ったそうです。米、デポール大の島田賢舟氏の発表。

絶滅した海生爬虫類は遺伝子型による性決定で適応放散が可能になった 9.17.09
  ネイチャー9月17日号Nature 461, 389-392 doi:10.1038/nature08350
 Chris L. Organ, Daniel E. Janes, Andrew Meade & Mark Page
 Genotypic sex determination enabled adaptive radiations of extinct marine reptiles

 有羊膜類の性決定の仕組みは、生態学及び生活史的に重要な形質と関連づけられ
 ます。この研究では、94種の有羊膜類で、性決定機構と卵生・胎生の別にこれまで
 知られていなかった共進化的な傾向があることを確認しています。
 さらに、この関係を用いて、絶滅した中生代海生爬虫類の独立した3系統(モササウ
 ルス類、鰭竜類、および魚竜類)の性決定機構を推測しています。これらの系統は、
 いずれも胎生だったことが化石からわかっています。得られた結果は、いずれも胎生
 を獲得する以前に遺伝子型による性決定機構を進化させたことを示しています。
 その結果、温度により性が決定される制約から解放され、水温が安定した外洋での
 放散が可能になったとしています。
 ハーヴァード大ニュース

岩手に1・5メートルのワニ 白亜紀後期、歯の化石発見 7.16.09
  47ニュース 岩手日報 久慈琥珀博物館ニュース
  久慈市小久慈町の後期白亜紀約8500万年前の地層からワニの歯化石が
 2点発見されました。

カメが甲羅を作った独特の進化過程を解明
  ―カメは体壁を折り曲げ、肋骨を広げて甲羅を作る― 7.10.09
  理化学研究所プレスリリース 簡単版 詳細版 ナショナルジオグラフィック(日)
  Science 2009 年7 月 10 日号ハイライト

  「肋骨の、この中に腕が入っているんだ。でも、そこから肋骨を突き破って腕が出て
 くるわけじゃないんだ」 大恐竜展ギャラリートークで伊藤恵夫氏のことばです。
 そう、カメは肋骨の内側に肩甲骨がある、特異な骨格の位置関係を有しています。
 他の羊膜類と逆になるのは、カメの発生後期過程で、腹側の体壁が内側に折れ込み、
 骨格の位置関係が変わるためと、理化学研究所のグループが明らかにしました。

 カメの肩甲骨は胚発生の中期までは、ほかの羊膜類と同じように肋骨の外側前方に
 ありますが、後期には腹側の体壁が内側に折れ込むため、肩甲骨の下側へ移動し、
 肋骨の内側に位置するように見えるということです。
 
 また、このことから、カメの甲羅は肋骨から発達したもので、皮骨が癒合したものでは
 ないことも明らかになりました。
 Hiroshi Nagashima, Fumiaki Sugahara, Masaki Takechi, Rolf Ericsson,
  Yoshie Kawashima-Ohya, Yuichi Narita1, Shigeru Kuratani
 Evolution of the Turtle Body Plan by the Folding and Creation of
 New Muscle Connections
 Science 10 July 2009: Vol. 325. no. 5937, pp. 193 - 196
 DOI: 10.1126/science.1173826 アブストラクト

アルマジロのようなワニの化石を発見 7.09.09
  ナショナルジオグラフィック(日)
  後期白亜紀、ブラジルのバウル盆地に生息していました。アルマジロのような甲羅に
 覆われていました。
  Thiago S. Marinho, and Ismar S. Carvalho
  An armadillo-like sphagesaurid crocodyliform from the Late Cretaceous of Brazil
  Journal of South American Earth Sciences
  Volume 27, Issue 1, February 2009, Pages 36-41
  doi:10.1016/j.jsames.2008.11.005  

Miodentosaurus brevis の体骨格と系統関係 2.16.09
  WU Xiao Chun, CHENG Yen Nien, SATO Tamaki(佐藤たまき),SHAN Hsi Yin 2009.
  MIODENTOSAURUS BREVIS CHENG ET AL., 2007 (DIAPSIDA: THALATTOSAURIA):
  ITS POSTCRANIAL SKELETON AND PHYLOGENETIC RELATIONSHIPS
  VERTEBRATA PALASIATICA(古脊椎動物学報) vol. 20 No.1 pp.1-20
  アブストラクト 論文ダウンロードできます。

  Miodentosaurus brevis は2007年、古脊椎動物学報に記載論文が掲載された、タラット
 サウリア類です(アブストラクト 参考)。その時は頭骨と下顎により記載されています。今
 回、ほぼ同じメンバーによりその頭部より後方の骨格記載及び系統関係について、より
 詳細な研究がされました。頭骨についても、一部より詳細な記載がされています。
 また、系統関係についてはタラットサウリア類の中、アスケプトサウルス上科に属し、中
 でもスイスやイタリアから産出するAskeptosaurus に最も近縁であるとしています。
 
内蒙古自治区寧城道虎溝の上部ジュラ/下部白亜系から産出した長肢トカゲ 2.16.09
  Susan E. EVANS, WANG Yuan
  A LONG LIMBED LIZARD FROM THE UPPER JURASSIC / LOWER CRETACEOUS
  OF DAOHUGOU, NINGCHENG, NEI MONGOL, CHINA
  VERTEBRATA PALASIATICA(古脊椎動物学報) vol. 20 No.1 pp. 21-34
  アブストラクト 論文ダウンロードできます。

  道虎溝から産出した2番目のトカゲ化石記載です。幼体です。細長い体と長い四肢が
 特徴となっています。現生のトカゲと比較すると、少なくとも部分的には樹木に登るのに
 適しているとしています。系統上の位置づけはscleroglossanの可能性があるが、幼体な
 ので不定としています。
 
暁新世新熱帯の巨大なボア科ヘビ類化石 2.05.09
  ネイチャー2月5日号
  Jason J. Head, Jonathan I. Bloch, Alexander K. Hastings, Jason R. Bourque, Edwin A. Cadena,
  Fabiany A. Herrera, P. David Polly & Carlos A. Jaramillo
  Giant boid snake from the Palaeocene neotropics reveals hotter past equatorial
  temperatures
  Nature 457, 715-717 (5 February 2009) | doi:10.1038/nature07671

  南米コロンビア北東部Guajira半島の58百から6千万年前のCerrejon(セレホン)層から
 産出した、巨大ボア科ヘビ化石を記載しています。
 Titanoboa cerrejonensis と命名されています。推定体長は13m体重は1,135kgとされ、
 これは知られる限り最大のヘビということです。
 また、変温動物のヘビがこのように巨大化するためには当時の気候の平均温度が、
 最低でも30℃から34℃ないと生存できなかったそうです。このことから、大気中CO 2
 濃度が高かった暁新世の新熱帯区は高温であったとする気候モデルに基づく仮説と
 一致するとしています。
 インディアナ大ニュース フロリダ大ニュース スミソニアン協会(PDF)写真 写真
 クイーンメアリー大ニュース

カナダ北極圏で発見された淡水カメ化石 2.02.09
  ロチェスター大ニュース Wired Vision(日)
  2006年、同大のJohn Tarduno らがカナダ北極圏で古地磁気の研究調査をしていた時
 発見したカメ化石。約9千万年前のものですが、それはモンゴルに住む淡水性のカメと
 近縁のものだったそうです。そのことから、当時の北極圏は氷がないほど暖かく、また、
 火山の噴火などにより陸橋の役をする陸がつくられ、アジアから渡っていける環境だった
 ことを示唆するそうです。カメはAurorachelys と命名されました。
 GEOLOGY誌の2月号に論文掲載されているそうです。

110歳のムカシトカゲ、無事父親に 2.01.09
  CNN.co.jp 朝日新聞 MSNBC
  ニュージーランド、サウスランド博物館。110歳のヘンリーと80歳のミルドレッド、7月に
 産卵した11個の卵が無事孵化しました。

ニュージーランドのムカシトカゲ化石が古代の沈降状況を示唆 1.21.09
  ニューサイエンティスト ロンドン大ニュース
  ロンドン大のMarc Jonesらがニュージーランド南島で発見した約18百万年前のムカシトカ
 ゲの顎化石から、この島の古代の沈降状況がわかるかもしれません。
 この化石は、南極から古代のニュージーランド"Zealandia"が分離したあと、一時沈降したと
 一部の研究者が示唆している年代からわずか3百万年後のことだからです。25百万年前か
 ら22百万年前までニュージーランドでは化石が発見されないことから、全島水面下だったと
 する研究者もいるそうです。
 しかし、ムカシトカゲは泳ぎの得意な動物ではなく、急速に塩水で脱水症状を起こしてしまう
 だろうとJonesらは考えています。現在の島の面積の1%でも陸地が残っていれば、ムカシト
 カゲは十分生き残れただろう(1%で2500平方キロメートルにあたる)としています。
 Proc. R. Soc. B(DOI: 10.1098/rspb.2008.1785)
 参考:Jonesらによる最近の別の論文
  Assessment of the role of sutures in a lizard skull: a computer modelling study
  Proc. R. Soc. B (2009) 276, 39?46 doi:10.1098/rspb.2008.0863 アブストラクト
  ニュージーランド水没説を覆す化石発見 2.02.09
  ナショナルジオグラフィック(日)
  1月21日付で紹介した、ニュージーランドのムカシトカゲ化石の記事です。

謎めいた爬虫類Khurendukhosaurus(双弓類、コリストデラ類)のモンゴル産新材料
 12.06.08
 Ryoko Matsumoto(松本涼子) , Shigeru Suzuki, Khisigjav Tsogtbaatar and Susan E. Evans
 New material of the enigmatic reptile Khurendukhosaurus (Diapsida: Choristodera) from Mongolia
 Naturwissenschaften online first DOI 10.1007/s00114-008-0469-6 アブストラクト

 Khuren Dukhの読みはフルンドッホでよいと思うのですが、タイプ産地から産出した新材料
 にもとづき記載しています。椎骨、骨盤、後肢について情報が加わったそうです。
 水生に適応したライフスタイルだったそうです。

中国南西部の三畳紀後期層から出土したカメの祖先の化石 11.27.08
  ネイチャーニュース ユーレカアラート ナショナルジオグラフィック
  AFPBB ナショナルジオグラフィック(日) 人民日報日本語版

  カメの起源について、これまでよくわかっていませんでした。知られる最古のカメ、プロガノケリ
 スは、もう立派な甲を備えていたからです。
 今回、中国貴州省GuanlingのFalang層(約2億2千万年前)から産出したカメの祖先の化石では、
 腹甲は備わっていますが、背甲は椎板のみで未発達です。背肋は幅が拡張していますが、皮
 骨は認められません。
 このことから、カメの甲は腹甲から先に進化したこと、背甲は肋骨の拡幅を伴う椎板の骨化から
 始まったことがわかりました。
 また、このカメOdontochelys semitestacea は、海成堆積物から産出しています。海や三角州
 の境界領域に生息していたことが示唆されるとしています。
 Li, C. , Wu, X.-C. , Rieppel, O. , Wang, L.-T. & Zhao, L.-J.
 An ancestral turtle from the Late Triassic of southwestern China
 Nature 456, 497-501 (27 November 2008) | doi:10.1038/nature07533

スコットランド、スカイ島から最古の水生のカメ記載 11.19.08
  BBC タイムス 英自然史博物館
  1億6千4百万年前、陸生のカメと水生のカメのミッシングリンクをなすものだそうです。
 Eileanchelys waldmani と命名されました。

トカゲと鳥に体毛の遺伝子が見つかる 11.11.08
  ナショナルジオグラフィック(日)
  トカゲ、ニワトリ、哺乳類の共通祖先のころ、鉤爪を形成する遺伝子だったという研
 究がでています。
 鉤爪ケラチンを作る遺伝子が鱗を作るようになり、さらに最初期の体毛が発達したの
 だそうです。
 Eckhart, L. et al. 2008.
 Identification of reptilian genes encoding hair keratin-like proteins suggests a new
 scenario for the evolutionary origin of hair
 PNAS doi:10.1073/pnas.0805154105アブストラクト

トカゲの脚の喪失は短期間の進化で起こった 11.11.08
  ユーレカアラート
  トカゲの脚が小さくなり、胴が長く伸びる進化は最も高いレートで360万年以内に起
 こったそうです。
 BMC Evolutionary Biology に論文掲載されるそうです。

アカウミガメは高齢産卵、平均42歳 東大など調査 11.11.08
  朝日新聞
  東京大大学院博士課程の石原孝さんらの調査によると、産卵できる体になった個
 体は30から50歳代中心、平均42歳ということです。
 参考:日本ウミガメ協議会

NZ本島でムカシトカゲの卵、約200年ぶり営巣確認 11.03.08
  CNN.co.jp
  ムカシトカゲの卵が10月31日、北島ウェリントンのカロリ野生動物保護区で見つかっ
 たそうです。本島で営巣が確認されたのは約200年ぶりです。

新種の“肢のないトカゲ”、学名が決定 10.25.08
  ナショナルジオグラフィック(日) Conservation International 同写真
  ブラジルのセラード保護地域で発見された、痕跡的な後肢しかないトカゲです。
 Bachia oxyrhina と命名されています。

 Miguel Trefaut Rodrigues, AGUSTI'N CAMACHO, PEDRO MURILO SALES NUNES, RENATO SOUSA
  RECODER, MAURO TEIXEIRA JR., PAULA H. VALDUJO, JOSE' MA'RIO B. GHELLERE, TAMI'
  MOTT & CRISTIANO NOGUEIRA (Brazil)

 A new species of the lizard genus Bachia (Squamata: Gymnophthalmidae) from
 the Cerrados of Central Brazil
 Zootaxa 1875: 39?50 (2008)

ウミガメの食性の特殊化は独立して数回起こった 10.17.08
  アメリカ自然史博物館ニュース

ロンギスクアマの背の構造物 10.11.08
  前期三畳紀に生息していた双弓類、Longisquama の背にある構造物は羽毛なのか、
 鱗なのか、説はいろいろあります。Sebastian Voigtらの研究では、この構造物は、柔軟な
 外部の膜に覆われ、単一に分岐した内部枠組であり、羽毛・鱗のどちらを支持するもので
 ないが、この構造物は2段階の羽毛のような発達過程を形成し、sauropsidの外皮の進化
 上の可塑性を示す、非常に珍しい早期の例を示すものとしています。
 Voigt, S., Buchwitz, M., Fischer, J., Krause, D., and Georgi, R. 2008.
 Feather-like development of Triassic diapsid skin appendages.
 Naturwissenschaften. doi: 10.1007/s00114-008-0453-1. アブストラクト
 
 カメの甲の起源 10.08.08
  ニューサイエンティスト MSNBC
  米ニューメキシコ州、Chinle層群Bull Canyon層(約2億1千万年前)から産出した
 最も原始的な陸生のカメ類 Chinlechelys tenertesta 記載を紹介しています。
 なお、この時代のカメとしてはプロガノケリスがよく知られています。

 新しく記載されたChinlechelys tenertesta はどう異なるか、それは甲がまだよく
 発達していなかった点です。この種小名は薄い甲を意味します。実際、体長は30
 cmと推定されますが、甲の厚さは1mm程度しかありません。またその背部肋骨は
 背甲と癒合していません。より後代のカメでは癒合しています。

 カメの甲の起源には論争があり、1つは皮骨が癒合して形成されたとする考え方、
 もう1つは肋骨から派生したとする説です。記載者たちによれば、Chinlechelys
 肋骨と背甲が癒合していないことから、これらは基盤的カメ類では別々に骨化した
 もので、甲は皮骨が癒合したものとしています。
 Joyce, W. C. et al 2008.
 A thin-shelled reptile from the Late Triassic of North America and the origin of
 the turtle shell
 Proc. R. Soc. B doi:10.1098/rspb.2008.1196 アブストラクト
 参考:Spencer G. Lucas

琥珀から最古のヤモリの化石発見 9.05.08
  ナショナルジオグラフィック

カナダ、南アルバータから卵を抱いたカメとカメの卵 8.28.08
  カルガリー大ニュース
  体内に20個の卵があるAdocus 、別のカメ化石の下にある26個の卵が発見され、
 記載されたそうです。現生のカメの卵は柔らかいですが、この卵は殻が厚く、硬いそ
 うです。Biology Letters に掲載とのこと。

アルゼンチン後期白亜紀パタゴニア産出のバルスクス科ワニ形類 8.26.08
  Martinelli, A.G., and Pais, D.F. 2008.
  A new baurusuchid crocodyliform (Archosauria) from the Late Cretaceous of Patagonia (Argentina).
  Comptes Rendus Palevol 7(6):371-381. doi: 10.1016/j.crpv.2008.05.002
  アルゼンチン、ネウケン州、Bajo de La Carpa層から産出したバルスクス科の新属
 新種Wargosuchus australis を記載しています。

絶滅の危機、ムカシトカゲが111歳で父親に NZ 8.06.08
  CNN.co.jp
  母親も70から80歳だそうです。

世界最小のヘビ記載 8.04.08
  ナショナルジオグラフィック BBC CNN.co.jp 朝日 ペンシルヴァニア州立大ニュース
  カリブ海、バルバドス島で発見された体長10cmのヘビ。Leptotyphlops carlae と命名され
 Zootaxa に記載論文が掲載されるそうです。

ヘビの牙の進化的起源と発生 7.31.08
  ネイチャー7月31日号
  Freek J. Vonk et al 2008.
  Evolutionary origin and development of snake fangs
  Nature 454, 630-633 (31 July 2008) | doi:10.1038/nature07178

  毒ヘビは、その牙(毒液を注入する)の位置により、大きく二つのグループに分かれ
 ます。牙が上顎の前方にある前牙類(コブラ、クサリヘビなど)と、後方にある後牙類
 (ヤマカガシなどナミヘビ類)です。ヘビの進化について、この両者が進化的・発生的
 に同一のものかどうかが、重要な問題となってきました。
 今回、8種のヘビから96個の胚について上顎の歯形成上皮を可視化することでこの
 問題を調べています。マーカーとしてソニック・ヘッジホッグ遺伝子が使われました。
 その結果、前牙は上顎の後端で発生し、前方に移動することがわかりました。一方
 後牙類では、牙が独立した後部の歯堤から発生し、後部の位置を保ち続けるそうで
 す。両者の発生形成はよく似ています。今回のモデルは、歯形成上皮の後部小領
 域が残りの歯列と発生的に分離され、それによって後方歯が独立的に毒腺と直結
 して発達するようになったとするものであるそうです。
 この発生事象により、新生代には高等ヘビ類の大規模な放散が促進され、現生ヘビ
 類にみられる高度な多様性が生じたと考えられるとのことです。

脊椎動物胚での体節数の制御 7.17.08
  ネイチャー7月17日号
  Ce'line Gomez, Ertug breverul M. O"zbudak, Joshua Wunderlich, Diana Baumann,
  Julian Lewis & Olivier Pourquie'
  Control of segment number in vertebrate embryos
  Nature 454, 335-339 (17 July 2008) | doi:10.1038/nature07020

  ヘビの体はなぜ長い? という疑問に、こたえています。脊椎動物の体軸は分節さ
 れて、体節をつくり、それに由来する椎骨の数は種により決まっています。が種の違い
 により、この数は大きく違っています。ヘビでは椎骨数は300個を超えています。
 この論文ではゼブラフィッシュ、ニワトリ、マウス、コーンスネークの胚での体節形成を比
 較しています。ヘビでは胚の成長の速度より体を体節に分割する速度(分節時計の速度)
 のほうが非常に早く、体が多くの体節に分かれるのだそうです。

Palaeontology 7.16.08
  Volume 51 Issue 4 (July 2008)には、数々の興味深い論文が掲載されています。
 うち、いくつか
 KOEN STEIN, COLIN PALMER, PAMELA G. GILL, MICHAEL J. BENTON THE
 AERODYNAMICS OF THE BRITISH LATE TRIASSIC KUEHNEOSAURIDAE
 967-981
 Kuehneosaurs の復元模型による風洞実験の結果、空力学的に安定したものだった
 ことが明らかになりました。
 ブリストル大ニュース

岩手県久慈市で白亜紀後期のカメ化石 6.24.08
  47NEWS 久慈琥珀博物館
  陸ガメ アドクス類の化石で、1体分がまとまって。

ブラジルから産出したディロサウルス科ワニ形類 3.28.08

石川県白山市桑島化石壁産出の植物食トカゲKuwajimalla kagaensis 3.25.08
  ナショナルジオグラフィックで紹介しています。

石川県白山市桑島化石壁産出の植物食トカゲ 3.14.08
  白山市 北国 朝日 
  今回新種として確認されたトカゲ類化石は、2001年4月に桑島化石壁の岩石中から、上顎
 の骨を含む頭部の一部と歯が発見されました。歯の形状から植物食だったと推定されます。
 約1億3千万年前の地層から発見。これまで最古の植物食のトカゲより3千万年遡り、世界最
 古となります。
 Palaeontology 3月14日号に記載論文掲載。
 Kuwajimalla kagaensis と命名。加賀の桑島の小さな乙女という意味だそうです。

クロコダイル進化の「失われた環」とみられる化石、ブラジルで発表 2.03.08
  AFPBB リオデジャネイロ連邦大学ニュース(ポルトガル語)
  記載されたのは昨年ですが、発表のニュースは今です。
  de Souza Carvalho, I., de Vasconcellos, F.M., and Simionato Tavares, S.A.
  2007. Montealtosuchus arrudacamposi, a new peirosaurid crocodile
  (Mesoeucrocodylia) from the Late Cretaceous Adamantina Formation of Brazil.
  Zootaxa 1607:35-46.
  報道が伝えるようにミッシングリンクなのかどうか、論文を見ていないのでよくわか
  りません。

中国義県層産のトカゲ集団化石 12.06.07
  Evans, S.E., Wang, Y., and Jones, M.E.H. 2007.
  An aggregation of lizard skeletons from the Lower Cretaceous of China.
  Senkenbergiana Lethaea 87(1):147-156.

  この号の表紙写真が、問題の化石標本と思われます。中国義県層の陸家屯単層から
 産出した、前期白亜紀のトカゲDalinghosaurus longidigitusの少なくとも16体の立体化石
 の記載です。孵化したての個体から亜成体までを含みます。堆積環境から、火山噴火中
 の泥質すべりにより運ばれた自然集団とみられるそうです。
 最も良好な標本からは、その顎、口蓋、脳頭蓋の形態について新情報がもたらされると
 いうことです。Dalinghosaurus の標本はこれで孵化直後から成体まで30近く知られ、その
 成長に伴う頭蓋彫刻の骨学的変化や頭蓋形態・四肢のプロポーションの変化が辿れるよ
 うになったそうです。

北陸初第四紀のイシガメ 金沢で化石 ニホンハナガメに類似 7.25.07
  中日新聞 石川県生涯学習課記者発表資料 同別紙資料
  イシガメ科の一種の腹側の甲羅(腹甲)で、ニホンハナガメの腹甲に似ているそうで
 す。石川県立自然史資料館の企画展化石が教えてくれたこと 〜氷河期の海に生きたものたち〜
 で展示されます。

米ヴァージニア州から滑空する小型爬虫類 6.13.07
  roanoke.com ナショナルジオグラフィック 復元図 ペンシルヴァニア州立大ニュース
  ヴァージニア・ノースカロライナ州境近くで発掘された、約2億2千万年前の小型
 滑空爬虫類。Mecistotrachelos apeoros と命名され、JVP最新号に記載論文が
 掲載されるそうです。クビが長く、また翼膜は前肢より後肢に近い方に広がって
 いるそうです。化石と母岩が同じ色で区別が困難だったため、CTスキャンを用い
 て骨を確認したそうです。
 来月、ヴァージニア自然史博物館で展示されます。

1つの石板に4匹のケイチョウサウルス 6.12.07
  人民日報 中国日報
  中国貴州省安順市興義市の古生物化石博物館の標本です。
 体長2mあまりのケイチョウサウルスの腹部下方に、体長5から9cmの幼体が
 3匹います。報道によれば、同一環境同一空間でこのように大きさが異なる
 ケイチョウサウルスが共に発見されたのは初めてで、その生活の習性や成長
 特性を知る資料となるそうです。

中国重慶市永川区で水生爬虫類化石 5.22.07
  中国新聞網
  重慶市永川区灯坪村の廖永勝兄弟が家の建築で土台の工事で発見したそうです。残念
 ながら、8個の尾椎がわかる程度らしいです。約1億5千万年前の水生爬虫類とのこと。

ケイチョウサウルスの立体化石 5.14.07
  中国広範網
  写真が出ています。太めのトカゲといった印象。こんな化石アリなの?!ぜひご覧下さい。
 背中には珊瑚がついているそうです。

ケイチョウサウルスの立体化石初発見 5.13.07
  中国網
  ケイチョウサウルスの化石自体は、新宿や池袋のミネラルショーでおなじみと思います。
 しかし、立体化石は見たことがありません。
 貴州大学の胡小波が展示したもので、3年前、安順做銀杏樹資源調査の途中、路上で
 一群の人が石の塊りを見ているのを見つけ、その石から出したようです。
 珊瑚と一緒に体長30cmほどの立体化石があったということです。

中国貴州省で世界最小のケイチョウサウルス化石発見 4.08.07
  新華社貴州頻道(写真) 人民日報

  貴州省地質礦産勘査局総工程師の王尚彦が新華社記者に見せたものです。
 長さ230mm、幅100mmの石板上に、3個体のケイチョウサウルス化石があります。
 1個体は、体長200mm、2個体は体長23mmと25mm。ケイチョウサウルス幼体です。
 体の曲がり具合は、母体から分離した卵であったことを思わせます。
 王尚彦によれば、これは世界最小のケイチョウサウルス化石であるとともに、ケイチ
 ョウサウルスの生殖方法(卵生、胎生、卵胎生)に新しい研究上の証拠をもたらすもの
 だそうです。

 参考:新華社貴州頻道 11.13.06
     体長92.3mmのケイチョウサウルス幼体化石 貴州省興義市で発見。ここでは
     卵胎生の新証拠と報じています。

米オレゴン州からジュラ紀の水生ワニ類 3.22.07
  オレゴン州東部Snowshoe層から。Thalattosuchia という魚のような尾をした
 ワニ類です。
 オレゴン大ニュース
 Thalattosuchia 復元イラストと標本写真

「翼」もつ新種トカゲの完全化石、中国・遼寧省で発見 3.20.07
  読売新聞 朝日新聞
 「翼」をもつ爬虫類は、これより以前にもイカロサウルスや、ロンギスクアマなど
 いろいろいます。が、Xianglong zhaoi は正真正銘のトカゲ類とのことです。
 といって現生のトビトカゲと近縁というわけではないようです。
 体長15.5cmうち尾が9.5cm。左右8本の肋骨に翼膜があり、滑空したようです。
 PNASに論文掲載予定とのことです。
 ニューサイエンティスト

中国貴州省中期三畳紀のタニストロフェウス幼体 2.28.07
  LI Chun(李淳)
  貴州中三畳世長頚竜属(原竜目:長頚竜科)一幼年個体
  A JUVENILE TANYSTROPHEUS SP. (PROTOROSAURIA, TANISTROPHEIDAE) FROM THE MIDDLE TIRASSIC OF
  GUIZHOU, CHINA
  古脊椎動物学報第45巻第1期 pp.37-42
  貴州省興義市、法郎層から産出したTanistropheus幼体骨格を記載しています。これはヨーロッ
 パ及び中東以外で発見された初めての例だそうです。この化石の腕の骨は簡単な形で骨化の
 程度は弱いので、一生水生の動物だったのだろうとしています。また、捕食方式は、頚部を収縮
 させるとともに食道を拡張することにより、獲物を餌を捕捉吸引するやりかただったのではないか
 としています。

セダカヘビ:カタツムリ食べやすいよう「右利き」に進化? 2.17.07
  毎日新聞
  Masaki Hoso, Takahiro Asami, Michio Hori
  Right-handed snakes: convergent evolution of asymmetry for functional specialization
  Biology Letters FirstCite Early Online Publishing
  DOI: 10.1098/rsbl.2006.0600

産卵期のワニは骨髄骨を形成するか? 1.31.07

ヤマカガシはヒキガエルの毒を盗む 1.30.07
  ニューサイエンティスト
  Old Dominion大学のDeborah Hutchinsonの研究。"いしま"という島のヤマカガシは、多くの動
 物がきらうヒキガエルを食べ、その毒を自分の頚部の腺内に盗み取り防御に使うそうです。一方、
 ヒキガエルがいない金華山のヤマカガシには毒がないそうです。また、毒素のレベルが高い母親
 のヤマカガシは、その毒を子孫に譲り渡すそうです。孵化したてからヒキガエルの毒に守られるの
 です。
 Proceedings of the National Academy of Sciences (DOI: 10.1073/pnas.0610785104)

双頭の爬虫類 1.21.07
  MSNBC ライブサイエンス
  12月に紹介したものです。ずいぶん遅い報道ですが、一応紹介。

中国内蒙古自治区道虎溝上部ジュラ系又は下部白亜系産出の、良好に保存された
  皮膚印象を伴うトカゲ幼体標本 1.21.07
  S. E. Evans and Y. Wang
   A juvenile lizard specimen with well-preserved skin impressions from the Upper Jurassic/Lower
   Cretaceous of Daohugou, Inner Mongolia, China

  Naturwissenschaften ONLINEFIRST DOI: 10.1007/s00114-006-0214-y
  アブストラクト
  内蒙古自治区寧城の道虎溝から産出した、トカゲの孵化直後の幼体について記載し
 ています。道虎溝から初めて産出したトカゲ標本であるとともに、中国で最も古い時代の
 トカゲ標本となっています。また、皮膚印象も良好に保存され、最初期の鱗竜類皮膚印象
 となっています。義県層から産出するYabeinosaurus tenuisJeholacerta formosa の類
 縁と考えられるが、両者とも異なるだろうとのことです。
 ※道虎溝、義県層から産出した標本等の論文(植物も含め)は、Cretaceous Research のArticles in Pressにも
   数編出ています。

コモドオオトカゲが「処女受胎」、誕生はクリスマス前後 12.21.06
  CNN.co.jp BBC ネイチャーニュース ライブサイエンス 朝日新聞24日付
  単為生殖で生んだ卵からはオスが生まれるのだそうです。メス1匹いれば、新たな土地で
 も生まれたオスと交配して子孫を残せることになります。
 ネイチャー12月21日号
 Parthenogenesis in Komodo dragons
 Should males and females be kept together to avoid triggering virgin birth in these endangered reptiles?
 Phillip C. Watts, Kevin R. Buley, Stephanie Sanderson, Wayne Boardman, Claudio Ciofi and Richard Gibson
 doi:10.1038/4441021a

義県層から産出した双頭の爬虫類 12.21.06
  A two-headed reptile from the Cretaceous of China
  Eric Buffetaut , Jianjun Li , Haiyan Tong , He Zhang
  Biology Letters FirstCite Early Online Publishing DOI: 10.1098/rsbl.2006.0580

  こんな珍しい化石があるのですね!中国遼寧省下部白亜系義県層から産出した、双頭の
 コリストデラ類胎児または幼体を記載しています。肩帯部から双頭になっているそうです。
 成体は1mにもなりますが、この化石は70mmだそうです。
 ニューサイエンティスト(写真あり) ナショナルジオグラフィック(写真あり)
 Daily Mail

中国貴州省でケイチョウサウルス幼体化石産出 11.13.06
  新華社貴州頻道写真あり
  11月7日、貴州省興義市で発見されたもので、体長92.3mmの幼体です。報道では、ケイチョ
 ウサウルスが卵胎生だった新証拠だとしています。

石川県白山市桑島の手取層群(白亜紀前期、約1億3000万年前)から産出した新種の爬虫類
  11.05.06
  記者発表資料により紹介します。

白山市桑島のトカゲの化石が世界最古の認定 (02日) 11.03.06
  中日新聞 毎日新聞 北陸朝日放送
   ドリコサウルス類の世界最古の化石として、カガナイアス・ハクサンエンシス と命名され
 たそうです。記載論文は16日発行のPlaeontology誌に掲載されるそうです。
 11月3日から12日まで、白山恐竜パーク白峰で公開。11月5日には真鍋真氏のギャラリー
 トークが開催されます。
 白山市特別公開案内
 参考:白峰村桑島化石壁から産出した新種の爬虫類化石の発見について
     (石川県文化財課記者発表資料平成16年6月29日)

中国貴州省三畳紀前期産Nothosaurus新種 8.28.06
  貴州中三畳世早期幻竜属(Nothosaurus)−新種
  A New species of NOTHOSAURUS from the Early Middle Triassic of Guizhou, CHINA
  尚慶華(SHANG Qing-Hua)
  古脊椎動物学報第44巻第3期 pp.237-249  論文(PDF)

  三畳紀前期の海生爬虫類Nothosaurus の新種を記載しています。
  Nothosaurus rostellatus sp. nov. (小吻幻竜)

トカゲの表皮にあるウロコのケラチンは、アミノ酸領域が鳥及び哺乳類の外皮蛋白
 質と相同であることを明らかにする
 7.24.06
 何もわからないままアブストラクトだけほにゃ訳です。

最初のデルタ翼滑空生物はSharovipteryx mirabilis 7.19.06
  Flight of Sharovipteryx mirabilis: the world's first delta-winged glider
  G. J. DYKE, R. L. NUDDS & J. M. V. RAYNER
  Journal of Evolutionary Biology Volume 19 pp. 1040 -1043
  July 2006 doi:10.1111/j.1420-9101.2006.01105.x

 Sharovipteryx mirabilis は後期三畳紀、2億2千5百万年前に生息していた、滑空する小型爬虫類で、
 1981年にキルギスタンで発見された唯一の標本によって知られています。滑空だけでもユニークで
 すが、主な翼膜が後肢についている点で、さらに独特です。この翼膜の形態について、どのようなも
 のだったか、いくつかの復元がされています。

 この論文では、著者らは標本のサイズと現生の滑空爬虫類から、その体の大きさを推定し、さらに翼
 膜については2タイプを想定しています。1つは、後肢にデルタ状の翼膜のあるもの、もう1つは、前者
 プラス前肢に小さい翼膜のあるものです。

 これらの空力特性をコンピュータシミュレーションしたところ、前肢にも小さい翼膜があるタイプが一番
 よいことがわかったそうです。
 ライブサイエンス 今回を含様々は復元図があります。

久慈琥珀採掘場でカメ化石発掘 7.09.06
  デーリー東北新聞8日付 東京新聞 IBC岩手放送ニュース7日付No.3131(動画)要リアルプレーヤー
  久慈市小久慈町大沢田地区にある琥珀採掘体験場の久慈層群国丹層から、白亜紀後期の中ごろ
 (約8500万年前)のカメの化石が見つかったそうです。 早稲田大 平山廉教授の鑑定。アドクスという
 スッポンの祖先にあたるカメだそうです。国内で4例目。平山教授によると、アドクスが見つかると恐竜も
 沢山見つかるのだそうです。7月15日から久慈琥珀博物館で公開。
 岩手日報

ボルネオ島で体色をカメレオンのように変える新種ヘビ発見 6.30.06
  WWFジャパン
  学名をEnhydris gyii 、英名をKapuas Mud Snake(和名仮称:カプアスカワヘビ)と名付け、新種のヘビ
 として発表されたそうです。
 WWF記者発表資料
 論文
 A new species of Enhydris (Serpentes: Colubridae: Homalopsinae) from the Kapuas river system, West Kalimantan, Indonesia.
 J. C. Murphy, H. K. Voris & M. Auliya.
 The Raffles Bulletin of Zoology 53 (2): pp. 183-289. 31 December 2005.
 朝日新聞

松江で国内最古級のワニの足跡化石 6.22.06
  山陰中央新報 6月21日付
  明日から古生物学会が松江で開催されます。そこからタイムリーなニュースです。もちろん学会で
 発表されます。2000万年以上前の地層だそうです。
 わたしも松江に行きますので楽しみです
 ポスターセッション「島根県美保関地域の下部中新統古浦層から産出した大型脊椎動物化石」
 河野重範(島根大・総合理工)・山内靖喜(島根県土質技術研究センター)ほか
 ポスターセッションの床に、実際に足跡のある岩が置いてありました。説明を受けると、なるほど足跡と
 わかるものです。二人で棒に縛ってかついで持ってきたそうで、その後数日からだが動かなかったという
 ものうなづけます。ワニというのは、後足の指が4本だからということです。

現生ワニ類の最古の祖先の化石 6.14.06
  ワニの系統は遠く三畳紀まで遡りますが、現生ワニの系統の最も基盤的な分類、Eusuchia類は、白
 亜紀まで登場してきません。ここで、白亜紀'中期'オーストラリアから発見された最も基盤的なEusuchia
 類標本について記載されています。現生ワニの系統はゴンドワナ大陸で最初に進化した証拠と位置
 づけられています。
 Isisfordia duncani gen. et sp. nov. と命名されています。
 ABC ネイチャーニュース クイーンズランド大ニュース 同大Isisfordia duncani画像のページ
 Proc. R. Soc. B 記載論文(PDF) 補足情報(PDF)

Qianosuchus mixtus のニュース 4.26.06
  中国科学院
  "貴州発現海生初竜類爬行動物化石"と題し、3月24日付で紹介した
 三畳紀の海生環境に適応した主竜類を報道しています。
 Naturwissenschaften誌の表紙をこの標本が飾っていますね。
 4月号An unusual archosaurian from the marine Triassic of China
 http://dx.doi.org/10.1007/s00114-006-0097-y
 三畳紀中国の海から産出した特異な主竜類 

頑丈な後肢と仙骨のある白亜紀の陸生ヘビ 4.20.06

ジュラ紀中期マダガスカル産の捕食性主竜類 4.02.06

三畳紀中国の海から産出した特異な主竜類 3.24.06

新種「クワジマ」化石 白山・桑島壁から1億3千万年前の「ワニ」 調査団が論文、
  秋にも認定か 2.6.06
  北国新聞
  ワニではなくコリストデラ類です。桑島化石壁産出化石調査団の松本涼子補助員が
  Acta Palaeontologica Polonica に論文投稿とのことです。「クワジマ」の名が入った
  新種記載楽しみですね。

  「桑島化石壁の動物化石調査報告書」所載の松本氏の文によると、桑島層には少
 なくとも2タイプのコリストデラ類が生息していたと考えられるそうです。吻部の長い種
 と、首も吻部も短い種を含む可能性が高いとのこと。

モササウルス類、Tylosaurusの最古の記録 1.27.06
  Earliest record of the genus Tylosaurus (Squamata; Mosasauridae) from the Fort Hays
  Limestone (Lower Coniacian) of western Kansas  Michael J. Everharta
  DinosaurMLによると今月末までbiooneで論文ダウンロードできるそうです。

ダチョウ恐竜に極度に収斂した三畳紀のワニ類 1.26.06
  Extreme convergence in the body plans of an early suchian (Archosauria) and
  ornithomimid dinosaurs (Theropoda)
  Sterling J. Nesbitt and Mark A. Norell
  Proceedings: Biological Sciences DOI: 10.1098/rspb.2005.3426

  三畳紀後期、極度にオルニトミムス科恐竜と収斂した骨格をもつワニ類の報告です。
 頭蓋、頭蓋より後方の骨格ともよく収斂しています。このような形態的進化は繰り返し
 あらわれることを示唆するとともに、はるか後のオルニトミムス科恐竜と同じような生態
 的位置を占めていたのではと示唆するとしています。
 MSNBCによると、アメリカ自然史博物館で60年間収蔵され、思いがけず見つかった標本
 だそうです。
 Effigia okeeffeae と命名され、属名は牧場名、種小名は著名な画家、Georgia O'Keefe
 に献名とのことです。
 REDORBIT ロイター 読売新聞 朝日新聞

アジア産初めてのジュラ紀コリストデラ類 1.11.06
  First Jurassic Choristodera from Asia
  NaturwissenschaftenOnline First DOI: 10.1007/s00114-005-0061-2
  Alexander O. Averianov, Thomas Martin, Susan E. Evans and Aizek A. Bakirov
  キルギスタン、フェルガナ渓谷のBalabansai Svitaから産出した、ジュラ紀中期の
 コリストデラ類に帰せられる断片的な脊椎の記載です。ジュラ紀にはローラシア大
 陸全般に広く分布していたことを示すそうです。

ヤベイノサウルスの謎を解く 12.08.05
  THE EARLY CRETACEOUS LIZARD GENUS Yabeinosaurus FROM CHINA:
  RESOLVING AN ENIGMA
  Susan E. Evans , Yuan Wang and Chun Li
  Journal of Systematic Palaeontology, Volume 3, Issue 04, 12 2005, pp 319-335
  60年前に記載されたときはその形態や系統的位置について不完全なものだっ
 たが、近年数多くの標本が産出し、Yabeinosaurus は吻部から骨盤まで300mm
 に達し、よく骨化し、装飾のある頭骨をしているそうです。ジュラ紀の生き残り
 
トカゲとヘビの起源、2億年前に 共通の毒をもった祖先から 11.17.05
  ネイチャーAOL 
  DNA解析によると、そうなのだそうです。
  Early evolution of the venom system in lizards and snakes
  ライブサイエンス ニューサイエンティスト
  参考:The phylogeny of squamate reptiles (lizards, snakes, and amphisbaenians) inferred from
       nine nuclear protein-coding genes
Comptes Rendus Biologies
      doi:10.1016/j.crvi.2005.10.001

Dallasaurus  11.17.05
  ダラスで研究された9千2百万年前のトカゲ。モササウルスとのミッシングリンクだ
 そうです。ニュースや写真、復元、論文などいろいろあります。
 CNN

ブラジル産1億2千万年前のウミガメ 11.16.05
  BBC 
  Araripemys arturi 柔組織もわかる標本です。まだ十分に海に適応していないが、
 前足はひれ状だそうです。
  PalaeontologyVolume 48 Issue 6 Page 1301  - November 2005
  SOLNHOFEN-STYLE SOFT-TISSUE PRESERVATION IN A NEW SPECIES OF TURTLE FROM
   THE CRATO FORMATION (EARLY CRETACEOUS, APTIAN) OF NORTH-EAST BRAZIL

   SARAH FIELDING, DAVID M. MARTILL and DARREN NAISH

Netherlands Journal of Geosciences 84(3)
  Mosasaur remains from the Upper Cretaceous Izumi Group of southwest Japan
  谷本 pp.373-378
  和泉層群のモササウルス類化石について
  参考:滄竜時代

世界最高齢のカメ175歳に 11.15.05
  CNN.co.jp
  1835年にダーウィンがガラパゴス諸島から連れ帰ったゾウガメ、ハリエット。
 ゾウガメの代謝なら2世紀生きることも可能なんですね。
 BBC

ロンギスクアマの新標本発見? 11.14.05
  LJWorld.com
  カンサス大の Larry Martin といえば、2000年、サイエンス誌に「羽毛」が生えた
 小型主竜類、ロンギスクアマLongisquama insignis の論文を執筆した一人です。
 しかし、その後「羽毛」は否定されました。

 彼が、最近ロシアからメールを受けたと報じています。内容は、ロンギスクアマの新
 しい標本が発見されたということらしいです。論文の共同執筆者に一人、Evgeny N.
 Kurochkin からで、前の標本と同じキルギスタンのサイトでです。ただ、この報道で
 はMartin自身、まだ新標本の写真も見ていない段階なので、亡霊の復活になるの
 かどうかは、まだわからないでしょう。

パタゴニア、ジュラ紀-白亜紀境界産の、特異な海生ワニ類 11.11.05

底生生物を捕食していたプレシオサウルス 10.10.05

メガランコサウルス模式標本の頭蓋と下顎記載 9.15.05
  DinosaurMLで記載者が紹介していたので。
 The skull and lower jaw of the holotype of Megalancosaurus preonensis (diapsida,
 Drepanosauria) from the Upper Triassic of Northern Italy
 SILVIO RENESTO & FABIO MARCO DALLA VECCHIA
 Rivista Italiana di Paleontologia e Stratigrafia 111:247-257

 Megalancosaurus は三畳紀後期の双弓類です。樹上生活をしていたようです。
 その頭蓋の研究により、主竜類爬虫類との類縁関係、基盤的翼竜類との類似性が
 明らかになったそうです。

ワニの血液を採取、抗生物質開発へ 豪研究者ら 8.29.05
  CNN.co.jp
  ワニの血液は非常に免疫力が高く、黄色ブドウ球菌も殺すそうです。
 「チームを率いるオーストラリア人科学者、アダム・ブリットン氏によると、ワニの免疫
 機構を調べた98年の研究では、血液中の抗体に、ペニシリンの効かない 黄色ブド
 ウ球菌などを殺す働きがあることが分かったという。また「試験管中のHIVにワニの
 血清を加える実験では、多くのウイルスが死滅した」と、ブリッ トン氏は語る。同氏は
 ワニの免疫力について「細菌の頭に銃を突きつけ、引き金を引くようなもの」と説明。
 チームではこの強い作用を利用し、人間が服用した り、傷口に塗ったりできる抗生
 物質の開発を目指している。 」

Revueltosaurusは鳥脚類恐竜ではない 6.24.05
  三畳紀の鳥脚類類恐竜とされていたRevueltosaurusは、アリゾナ州
 ペトリファイドフォレスト国立公園で発見された標本により、偽鰐類で
 あることがわかりました。これにより、三畳紀に世界的に分布していた
 鳥脚類はPisanosaurus mertii とアルゼンチン産のヘテロドントサウル
 ス科恐竜のみになり、三畳紀後期における鳥脚類類恐竜の初期進化
 や分布を再考することになるそうです。
 ユーレカラート
 Proceedings of the Royal Society of London B

ブラジル白亜紀の陸生ワニBaurusuchus salgadoensis 6.10.05
  ブラジル、サンパウロ州General Salgado郡Bauru盆地上部白亜系
 Adamantina層(Turonian-Santonian)で発見されたBaurusuchus属の
 新種についてニュースが流れています。
 約9千万年前に生息していた体長3mの陸生肉食のワニです。
 ABC MSNBC

 Baurusuchus salgadoensis, a New Crocodylomorpha from the
 Bauru Basin (Cretaceous), Brazil
 Ismar de Souza Carvalho, Antonio de Celso Arruda Campos and
 Pedro Henrique Nobre
 Gondwana Research, V. 8, No. 1, pp. 11-30.論文ダウンロード

ワニの祖先は温血だった 4.14.05
  Warm-hearted crocs ADAM P. SUMMERS
  ネイチャー4月14日号 News and Views Nature 434, 833 - 834 ; doi:10.1038/434833a

  Physiological and Biochemical Zoology に掲載されたRoger S. Seymourらの
 論文 Evidence for Endothermic Ancestors of Crocodiles at the Stem of Archosaur Evolution
 紹介しています。
 現生のワニは水中でじっと獲物を待ち伏せする行動をとり、変温性ですが、その
 心臓の構造をみると4つに分かれ、その祖先は陸上でもっと活動的な生活をして
 いたことが伺えます。現生のワニは水中での待ち伏せで余計なエネルギー消費を
 しないよう、二次的に変温性になったというのです。
 恒温性は主竜類の特徴であり、恐竜のあるものもそれを受け継いだと示唆してい
 ます。
 それに対し、News and Viewsでは、ワニには鼻甲介が全く無いと反論も紹介して
 います。
 もし、ワニの祖先と鳥類が恒温性ならば、恐竜も恒温性であったことが強く示唆さ
 れるのでしょうね。

極度に長い首の三畳紀水生プロトロサウルス類 9.28.04

石川県白峰村でドリコサウルス類新種 7.06.05
  紹介が遅れました。7月3日付です
  ヘビの起源については海生のモササウルスの仲間から進化したという説や
 陸生起源など、まだ見解は一致していません。今回の発見はドリコサウルス類
 で世界最古であるとともに、ヘビの起源について陸生起源を支持するものとな
 ります。
  朝日 毎日 読売
  参考:有羊膜類の分類系統

中国三畳紀中期から産出した初めてのプロトロサウルス類爬虫類
  2.24.04

ヘビの祖先は陸上で進化 2.17.04
  ナショナルジオグラフィック Biology letters

揚子鰐のDNA解析とワニ類の系統 11.14.03
  揚子鰐的線粒体全基因組与鰐類系統発生
  呉孝兵ほか
  科学通報第48巻第18期2003年9月pp.1954-1958
  Complete mitochondrial DNA sequence of Chinese alligator, Alligator
  sinensis, and phylogeny of crocodiles

  Chinese Science Bulletin 2003 Vol.48 No.19 pp.2050-2054

  ヨウスコウワニのミトコンドリアDNAを解析し、他のワニ類との分岐年代
 をだしています。アリゲーターとカイマンの分岐年代は約7千4百9十万年
 前、アリゲーターの中でミシシッピーワニとヨウスコウワニの分岐は5千9
 十万年前になるそうです。

  久慈琥珀博物館の敷地で白亜紀後期のワニ類の歯化石を発見10.20.03
  10月17日付ヤフーニュース(毎日)
  約8,500万年前の淡水性ワニ類の歯ということです。
  参考:久慈琥珀博物館

前脚だけのトカゲ新種、マダガスカルで発見
  朝日新聞9月4日付け

パタゴニア産の巨大白亜紀スフェノドン類 10.09.03
  Large Cretaceous sphenodontian from Patagonia provides insight into lepidosaur
   evolution in Gondwana
   SEBASTIAN APESTEGUIA AND FERNANDO E. NOVAS

  ネイチャー10月9日 Nature 425, pp.609 - 612

  スフェノドン類(Sphenodontida)は、ニュージーランドに生息するトゥア
 タラ(ムカシトカゲ)を除き、ジュラ紀までに絶滅した爬虫類です。
 今回報告されたPriosphenodon avelasi gen. et sp. nov.は、パタゴニア
 の白亜紀後期(セノマニアン-チューロニアン およそ9千万年前)から産
 出し、成体は体長1mに達しています。 これはこれまで発見されたどの
 スフェノドン類より大きいことになります。
 また、その化石の数は同じ場所で見つかった他のどの陸生脊椎動物の
 化石よりも多かったそうです。

 この発見は、白亜紀南米の陸生脊椎動物の中で決してマイナーなグ
 ループでなく、ヘビやトカゲが含まれる有鱗類(Squamata)に置き換わっ
 たのは第三紀初期まで遅れたこと、およびこれまで1億2千万年前まで
 だった化石記録と、現在のスフェノドン類とのギャップを埋めるものであ
 るとしています。
 ヤフーニュース(ロイター) ナショナルジオグラフィックニュース

  化石発掘イベントでトカゲの化石発見 10.03.03
  千葉県立中央博物館ニュースです。
  8月17日に行われた「夏休み親子の体験教室:親子化石発掘体験」
 で、恐竜時代のトカゲの化石が発見されたそうです。化石、と発見し
 た上野光子さんの写真があります。
 なおイベント情報に載せてありますが、10月26日には「大人のための
 化石発掘体験」があります。申込締切は10月12日です。

ポルトガルLourinhaジュラ紀後期産のMachimosaurus 11.20.02
  MATEUS, O. (2002). On a large vertebra of cf. Machimosaurus from the Late Jurassic
    of Lourinha (Portugal). XVIII Jornadas de la Sociedad Espanola de Paleontologia; II
   Congreso Iberico de Paleontologia. Salamanca: 73-75.

  www.dinodata.net/lusodinos/Scientificpapers.htm
  従来メガロサウルスの脊椎と分類されていたものを、ワニ類の脊椎と
 再記載したものです。

恐竜の祖先は夜行性だったかも 9.04.02
  Recreating a Functional Ancestral Archosaur Visual Pigment
  Belinda S. W. Chang, Karolina Jonsson, Manija A. Kazmi,
  Michael J. Donoghue and Thomas P. Sakmar
  Molecular Biology and Evolution 19:1483-1489 (2002)

  この報告は、主竜類(archosaurs)の祖先の視物質がどのようなもの
 だったか推定し、再創造し、その機能を調べるというものです。
 視物質、ロドプシンを再生するにあたって、Changらは既存のデータベー
 スに変わって、祖先の主竜類がそのロドプシンのために持っていた、最
 もありそうなDNA系列を推論する高度な統計的方法を使ったそうです。

 哺乳類、ワニ、鶏、両生類、真骨魚類および、 より原始な脊椎動物であ
 るヤツメウナギなどの30種類の現生脊椎動物でロドプシンをコード化す
 る遺伝子系列を使用して、これらの脊椎動物がどう互いに関連するか、
 また、しばしばあるタイプの遺伝子の変化が時間がたつにつれてどう起
 こるかに関する知識、系列整列、およびモデルを使用して、見込み量最
 大の、最もありそうな遺伝子系列について計算し、主竜類のロドプシン
 DNA系列を再構成しました。

 次に、それを哺乳類組織細胞に入れて、実際にロドプシンを生産させま
 した。生産されたロドプシンを調べると、508ナノメートルの光の波長を
 もっともよく吸収することがわかりました。これは現生脊椎動物よりわず
 かに赤方にずれているそうです。また、それは鳥類のロドプシンの吸収
 スペクトルに最もよく似ているそうです。この結果から主竜類の祖先は
 夜行性だったという仮説を補強することになるそうです。初期の恐竜も
 夜行性だったでしょうか。

 各脊椎動物のロドプシンを比較して、その分岐年代を推定する研究は
 私も聞いたことがありますが、推定したロドプシンの機能を調べるのは
 ユニークな研究だと思いました。
 ユーレカアラート BBC ネイチャーサイエンスアップデート
 
米セントローレンス大の学生、チャンプソサウルスなど発見 7.02.02
  Mark Erickson教授のプログラム、Almost Digging Dinosaurs でノースダコタ州
 Linton近郊の発掘現場から。約6千5百万年前のものです。ミズーリ河以東で最初
 に発見されたものだそうです。
 同大ニュース

ワニ類の古代からの知覚器官 5.20.02
  An ancient sensory organ in crocodilians
  DAPHNE SOARES ブリーフコミュニケーション
  ネイチャー5月16日号掲載 Nature 417,pp. 241-242 (2002)

  ワニは獲物を感知するのに目や耳だけでなく顔面を使うという研究です。
 ワニの下あごと口には鋭敏な圧力の受容体が一面にあって、かすかな水の動
 きも知覚するそうです。
 化石に残る孔の存在から、この器官はジュラ紀前期から生じていたようだとし
 ています。
 ヤフーニュース(読売) CNNニュース
 メリーランド大ニュースリリース

スーパークロコの顎は超強力だった 4.09.02
  ナショナルジオグラフィックニュース

カメレオンは海の上を渡って分散した 2.14.02
  Chameleon radiation by oceanic dispersal
  C. J. RAXWORTHY, M. R. J. FORSTNER & R. A. NUSSBAUM
  ネイチャー2月14日号 vol. 415, pp.784-787(2002)
  カメレオンはマダガスカル島とアフリカ、またセイシェル諸島とアジアにも少数分布
 しています。この研究では、52のカメレオン分類群に関する分子レベルおよび形態レ
 ベルの証拠を用いて、単純な大陸分裂の歴史とは一致しないその系統・地域分岐
 図の裏づけを示しています。
 カメレオンはゴンドワナ大陸の分裂によって分散したのではなく、その後、海洋を経
 由した分散であること。カメレオンの起源はマダガスカル島だが、そこを脱出して分
 散したのは複数回であることがわかりました。
 今回の研究成果は、マダガスカルからの種の分散が相当程度あったことを示し、ま
 たさらに、海洋を経由した分散が種分化の前兆となりうる事象として重要であること
 を強く示すものとしています。
 ネイチャーサイエンスアップデート 朝日新聞
 ネイチャージャパン今週のフィーチャー(論文全文読めます。無料の登録必要)

中国貴州省美嶺県三畳系から板歯類の新属新種 2.10.02
  貴州美嶺三畳系中一奇特的楯歯竜類
  李 淳, O. Rieppel
  科学通報200年1月第2期 vol.47 pp.156-159
  A new cyamodontoid placodont from Triassic of Guizhou, China
  Chinese Science Bulletin vol.47 No.5 pp.403-407
  板歯類というと、あまりなじみはないかもしれません。正直言って私も知りません。
 カバや海牛にも似た鈍重な爬虫類、また、一見カメと見まごうものもあります。
 口の中には大きな豆のような口蓋歯があります。系統的にはクビナガ竜に近いそう
 です。

 三畳紀のテチス海西部に生息していて、これまでヨーロッパや中近東では産出して
 いましたが、中国での発見は珍しいのではないでしょうか。

 貴州省美嶺県法郎層(三畳紀後期Carnian)から産出したもので、標本は立体的に
 保存された頭骨、背甲と四肢骨の部分だそうです。
 Psephochelys polyosteoderma gen et sp nov. 多板礫甲竜 と命名されています。
 
 ヨーロッパ産のPsephoderma 属とPlacochelys 属の両方を組み合わせたようなユ
 ニークな形質をもっているそうです。
 参考:PLACODONTS: THE BIZARRE ‘WALRUS-TURTLES’ OF THE TRIASSIC

  トカゲはどうやってヘビになったか 12.15.01
  HOW LIZARDS TURN INTO SNAKES: A PHYLOGENETIC ANALYSIS OF
  BODY-FORM EVOLUTION IN ANGUID LIZARDS

 John J. Wiens, Jamie L. Slingluff Evolution_ 55 (11): 2303-2318.
 トカゲのようなうろこのある爬虫類の胴が伸び、四肢を指をどうやって失っ
 ていったかという研究です。
 胴が長くなるのと四肢の退化、四肢の退化と指の退化は関連がありま
 すが、胴の伸長から四肢の退化、指の退化は一直線の関連はないそう
 です。
 ホックス遺伝子により急にこれらの変化が起こったという説に対しては、
 反対し、漸進的に変化したとしています。

世界最小のトカゲ発見 12.03.01
  わずか体長16mmというトカゲです。カリブ海のドミニカ共和国Beata島の森
 林で発見されました。Jaragua lizard (Sphaerodactylus ariasae) という名です。
 発見者のBlair Hedges は、哺乳類や両生類など分子的な方法で進化を研究し
 ています。
 ユーレカアラート ペンシルバニア大プレスリリース(トカゲの大きい写真あり)
 CARIBBEAN JOURNAL OF SCIENCE発表論文をダウンロードできますPDFファイル
 BBCニュース ネイチャーサイエンスアップデート

トレッドミル上のワニは、恐竜がどのように呼吸したのかヒントを与える
  11.25.01
  ユタ大学ニュースリリース11月19日付
  Colleen Farmer, David Carrier
  米ユタ大の研究者たちは、恐竜がどのように呼吸したかについて、新しい
 手がかりを得るために、ワニにトレッドミル(よくスポーツジムなどに置いてある
 ような、コンベアの上を歩いたり走ったりする装置です)の上を歩く訓練をしま
 した。ワニといってもフロリダから入手した若い1mたらずのものですが、分速
 1mで3-4分間歩かせるのに数カ月の訓練を要したそうです。
 
 この研究からは、ワニは、トカゲとは異なり、前後に動く恥骨を用いて呼吸を
 補助し、歩行と呼吸を同時にできることが明らかになりました。トカゲは歩行
 中に呼吸できないそうです。
 彼らはワニにトレッドミルの上で歩く訓練をし、歩くときの酸素消費量や、血流
 量、筋肉の動かし方をモニターしたのです。

 鳥類も恥骨を用いて呼吸をしていることが判明しています。それと共にこの
 研究により、恐竜や翼竜が同じようなやり方で呼吸したであろうことを示唆し
 ます。

 哺乳類では呼吸に横隔膜を用いますが、横隔膜のないワニでは、diaphragm
 という恥骨と肝臓を結ぶ筋肉で肝臓を引っ張ったり押し出したりして、ピストン
 の役割をさせています。そのことは、1940年代から判明していました。

 また、10年以上前から鳥類の恥骨がジョイントのように着いていて、呼吸を助
 けていることも判明していました。ワニの骨盤にも蝶番のようなジョイントがあ
 るのが知られていました。

 彼らはワニが息を吸うとき、ある筋肉が恥骨を下に引き、肝臓が後ろにさがる
 空間を作ることを発見しました。同時にdiaphragm筋が肝臓を引っ張り、肝臓
 を引き寄せます。この"ある筋肉"の名称はプレスリリースでは出ていません。
 同図見ると、恥骨端と坐骨端をつなぐ筋肉が描かれていますが、これ以外に
 も恥骨下肢骨をつなぐ筋肉が関係しているのではないでしょうか。
 なお、ニュースリリースの図では、diaphragm筋が坐骨に着いているように見
 えますが、abdominal筋とも恥骨に着いていると解するのが正しいようです。
 ("揚子鰐大解剖"pp.238参照)。
 
 恐竜に最も近縁とされる鳥類とワニで同様の呼吸がされることから、彼らは
 恐竜と翼竜は前後する恥骨と筋肉で呼吸をしたのではと、提案しています。
 
 恐竜について、diaphragm筋が肝臓を引っ張り、呼吸をするという研究は、オ
 レゴン大のジョン・ルーベンらがイタリアで発見された内臓まで保存された獣
 脚類スキピオニクス Sciponyx samniticus を研究して発表しています。
 (サイエンス99年1月22日号 恐竜と初期鳥類の呼吸に関してサイエンス97
 年11月14日号)
 BBCニュース

 Sarcosuchus imperator 記載論文 11.17.01
  The Giant Crocodyliform Sarcosuchus from the Cretaceous of Africa
  Paul C. Sereno, Hans C. E. Larsson, Christian A. Sidor, Boube Gado
  サイエンス11月16日号掲載
  Science Express に10月25日掲載されたときに一応紹介しましたので、
 今回は出たということだけにとどめておきます。

白亜紀ニジェールから巨大ワニ化石 10.26.01
  ポール・セレノらがScience Express で発表。
   The Giant Crocodyliform Sarcosuchus from the Cretaceous of Africa
  Paul C. Sereno, Hans C. E. Larsson, Christian A. Sidor, and Boube Gado

  米シカゴ大のポール・セレノらが、ニジェールのテネレ砂漠で発見した
 巨大ワニの化石。Sarcosuchus imperator の頭蓋骨と骨格の一部。
 これは既に1966年に仏のFrance de Broin とPhilippe Taquet により命
 名されています。しかし、セレノらの発見により未解明だった解剖学的要
 素、生活様式、発達過程、他のワニとの近縁関係などがわかったもので
 す。

 頭蓋骨の大きさから、サルコスクスの体長は約12-13m、体重は約9tで
 あったとしています。頭から尾の中ほどまで皮骨板に覆われ、それには
 40の年輪が存在ていました。成体の80%の大きさに成長していたと推定
 されているので、このワニが完全な成体になるのに50-60年を要したと
 考えられています。

 頭蓋骨全長の75%に達する長い鼻があるが、針様の鼻をもつガンジスワ
 ニなどより幅は広かったそうです。また、上顎は下顎の歯よりかなり張り
 出しているオーバーバイトの構造で、下顎の歯がすべて上顎の歯列の
 内側に入るようになっている。歯も丈夫で丸みを帯び、食物を噛み砕くの
 に適していたそうです。雑食性と考えられ、セレノは恐竜をも摂食してい
 たと考えています。

 また、その頭蓋骨には特異的な大型の骨胞が存在し、その機能につい
 ては、発声と嗅覚の機能に関係していたと考えれています。

 このワニについてはナショナルジオグラフィック誌の12月号に掲載され、
 骨格のキャストは11月16日からワシントンのExplorers Hall で展示され
 ます。
 Super Croc(必見) ナショナルジオグラフィック Super Croc
 ナショナルジオグラフィックプレスリリース
 www.projectexploration.org
 ヤフーニュース(AP) ヤフーニュース(読売) MSNBC ディスカバリー
 ナショナルジオグラフィック 朝日新聞 ユーレカアラート(日本語訳あり)
 BBC

ペルム紀末の大量絶滅を乗り越えた爬虫類 9.27.01
  ペルム紀末の大量絶滅は、あらゆる大量絶滅のうち最大のものとして、
 知られています。この原因については地球外からという研究が今年3月の
 サイエンス、さらにそれを補強する日本人研究者の報告がされています。
 
 A new Triassic procolophonoid reptile and its implications for
 procolophonoid survivorship during the Permo-Triassic
 extinction event
 Sean Modesto; Hans-Dieter Sues; Ross Damiani
 Royal Society Proceedings B Volume: 268 Number: 1480 Page: 2047 -- 2052
 同プレスリリース
 ここで、研究者たちは、ペルム期から三畳紀に生息していた原始的な爬虫
 類、プロコロシフォン上科の新しい化石を発表しています。
 南アフリカ下部三畳系Beaufort層群からです。
 
 ここで、さらに論を進みます。ペルム紀境界から三畳紀にプロコロシフォン
 上科の6系統のうち4系統が生き残っていることから、ペルム紀末の大量
 絶滅は、これまで考えられていたほど陸生爬虫類にとって破壊的でなかっ
 たことを強く示唆するとしています。

 このことが、大量絶滅の原因を地球外に求める研究を否定するのかどうか
 その辺は微妙なところと私は思います。一般に小型の動物は絶滅の危機
 に瀕しても回復が早い傾向がありますし、BBCニュースでModestoが述べ
 ているように、地下に潜って難を避けたかもしれませんから。
 BBCニュース 

北米上部ペルム系からMacroleter 発見8.28.01
  The reptile Macroleter: First vertebrate evidence for correlation of
  Upper Permian continental strata of North America and Russia
  Geological Society of America Bulletin: Vol. 113, No. 9, pp. 1229-1233.
  Robert R. Reisz アブストラクト
 これまでロシアウラル地方でしか化石が知られていなかったMacroleter とい
 う爬虫類が米オクラホマで発見されたというものです。これにより当時の北米
 とロシアに生物の交流があったことがわかるそうです。

米ノースカロライナ州から三畳紀爬虫類の貴重な発見8.08.08
  この発見に関する先行ニュースは99年8月22日付けでお知らせしました(そ
  の他の爬虫類に関するニュース)。ここでは4種の爬虫類化石が発見されたこ
 とを伝えています。1つはラウィスクス類、Plinthogomphodon herpetairus と命
 名された哺乳類型爬虫類、アエトサウルスの装甲板、そしてスフェノスクス亜
 目の化石です。これは今までに発見された中で一番完全な同亜目の化石だ
  そうです。

  今回は、発見当時考えられていたよりこれらは重要なものだったというニュー
 スです。スフェノスクス類のくさび型の頭骨には、ラウィスクス類の歯によって
  噛み付かれた痕があるそうです。頭から尾まで120から150cmほど。
 この研究を任されたトロント大のハンス・ディータースーズは、自分はこの20年
 間東部海岸地方の化石を研究していたが、こんなに完全な化石は初めてと、
 語っています。
 哺乳類型爬虫類は、ラウィスクス類の腹中からみつかった幼体の一部で、頭
  部、前肢、肩などの骨があるそうです。比較的進化した哺乳類型爬虫類であ
  るキノドン類に属し、この発見までキノドンは主に南半球で発見されていたもの
 だそうです。
 アエトサウルスの装甲板についてもアメリカ東部で発見されたものでは最も完
 全なものとスーズは言います。ラウィスクス類の腹中からは他に2種、小さくて
 よくわからないものがあるそうです。
 MSNBCニュース ノースカロライナ大チャペルヒル校エンデバー
 参考:99年8月の同校ニュース 同プレスリリースの写真

JVP2001年2号から7.12.01
 プレシオサウルスの椎骨の病変についてとか、興味をひく表題が
 あります。
 
独でディメトロドン化石7.09.01
  A new species of Dimetrodon (Synapsida: Sphenacodontidae) from
  the Lower Permian of Germany records first occurrence of genus
   outside of North America
  David S. Berman, Robert R. Reisz, Thomas Martens, and Amy C. Henrici
  Canadian Journal of Earth Sciences 2001年5月号
  ディメトロドンはもちろん恐竜ではありません。独中部Gotha 近郊の
 チューリンゲン森(Thuringian Forest)中部で。下部ペルム系Tambach層
 から。北米以外ではじめて発見された標本だそうです。
 Dimetrodon teutonis と命名されています。
 推定体重14kg。これまで発見されていた種D. natalis の半分の大きさ。

カナダ・ブリテッィシュコロンビア州三畳紀後期から魚竜新属7.08.01
  A new genus of ichthyosaur from the Late Triassic Pardonet
  Formation of British Columbia: bridging the Triassic Jurassic gap
  Elizabeth L. Nicholls and Makoto Manabe
  Canadian Journal of Earth Sciences 2001年6月号
  魚竜の中でシャスタサウルス科というのは、どうもはっきりしないのです
 が、この報告では新属 Metashastasaurus が記載されています。

ドイツ西部で4,500万年前の"ワニ"化石発見6.11.01
  アイフェル(Eifel )地方のEckfeldで発見と、マインツ自然史博のHerbert
 Lutz が発表しています。体長1m程度。ワニと同様という表現はどのくらい
 の範囲をさしているのでしょう。Eckfeld からはヤシ化石なども87年以来発
 見されており、当時この地方が温暖だったことを支持するとしています。
 ヤフーニュース

陸生草食動物の効率の良い口内食物処理を示す最古の証拠 6.07.01
   Earliest evidence for efficient oral processing in a terrestrial herbivore
  NATALIA RYBCZYNSKI AND ROBERT R. REISZ
 ネイチャー6月7日号掲載
  1990年にロシア中部Kotelnich、Vyatka河沿いで発見された、乱歯類
 (Anomodontsあるいは異歯亜目といったほうがいいのかな?)に属する
 哺乳類型爬虫類(獣弓類)の一種の研究です。これは植物食に適応した
 歯や顎をもつ最古の脊椎動物であるそうです。
 
 ペルム期後期(Upper Tatarian)産の Suminia getmanovi の頭蓋と歯に、
 繊維質の多い植物を食餌にするための明確な特殊化がよく保存されてい
 るというものです。この動物の歯は、例えば竜脚類恐竜のような、葉をむし
 り取るだけのものではありません。個々の歯の先端はおよそ45度の角度を
 なし、上下の歯はその凸部と凹部がうまくかみ合うようになっています。
 同様の歯は、イグアナ、古竜脚類、鳥脚類にもみられるとしています。

 また、顎関節も植物を噛み砕くために力を出せる構造になっていました。

 歯のかみ合わせの復原は歯の表面についた微小な溝状の傷からなされ
 たそうです。

 豊富な植物を効率的に消化できるようになったことにより、個体数増加や
 多様化をもたらし、さらに、それをエサにするものの増加や多様化ももたら
 しました。この多様化から現在の陸上生態系が導かれていったと研究者た
 ちは考えています。
 CNNニュース BBCニュース ナショナルジオグラフィックニュース
 デューク大ニュース 同大写真(プレスサイズと普通のもの3種)
 トロント大ニュース

中国貴州三畳紀から2番目のタラットサウルス 6.05.01
  THE SECONDE THALATTOSAUR FROM THE TRIASSIC OF GUIZHOU, CHAINA
  劉俊(IVPP)、RIEPPEL,Oliver(フィールド博) 古脊椎動物学報 Vol.39 No.2
  昨年、魚竜として記載された新舗魚竜(Xinpusaurus suni) が実はタラットサ
 ウルスだったというもの。三畳紀後期法郎(Falang)層から産出した頭蓋骨です。

 ちなみに1番目のタラットサウルスは安順竜(Anshunsaurus)で、同じ劉俊が
 報告しています。黄果樹安順竜(Anshunsaurus huangguoshuensis)の名札が
 ついた標本は、国際ミネラルフェア(特設展示8,9)でも展示されていました。
 参考:科学通報99年12号貴州三畳紀鰭竜類的新発現 
 ※タラットサウルス類は、三畳紀中期から後期にかけ、主にヨーロッパや北米
  に分布した、水生生活に適応した細長く四肢も短い爬虫類です。分類上は、
  主竜様下目、タラットサウルス上目となるそうです。
  昨年12月の池袋のフェアで、魚竜ミクソサウルスのヒレと札のついていたも
  のは、実はタラットサウルスの前肢だったという話も・・・

 Dinosaur Genera List corrections #157 から5.05.01
  ディノプレス第3号に掲載されている、イタリアのサルトリオサウルスは
 文章中にこの属に対し記載種名がないので不適格名として加えるとして
 います。
 Peters, D., 2000.
 "A reexamination of four prolacertiforms with implications for pterosaur
  systematics,"
 Rivista Italiana di Paleontologia e Stratigrafia 106(3): 293-336
 [December 2000].
 いろいろ議論のあるLongisquamaロンギスクアマや, Cosesaurus,
  Sharovipteryxについて。Prolacertiformes という分類上の位置に置いて
 います。翼竜類の姉妹群としているようです。

南アフリカ・カルー盆地で非常に稀な爬虫類頭骨発見4.16.01
  カルー盆地は、私も以前金子隆一氏にくっついて訪れたことがあります。
 50kmに1つくらいしか町がない荒野に、哺乳類型爬虫類の化石が、これでも
 かというくらいゴロゴロ産出しています。
 昨年9月頃の話のようですが、南アフリカ博物館のロジャー・スミス博士率い
 る発掘調査隊がMURRAYSBURGという所の近くでディキノドン化石を発掘して
 いたところ、偶然にもProburnetia という爬虫類の頭骨を発見したのです。

  もちろん発見当時は何の頭骨だか不明でしたが、ワイトウォーターズランド
 大のブルース・ルービッジ教授によりProburnetiaとわかったそうです。
 この爬虫類は、ペルム紀後期ロシアから産出しているもので、盤竜類か獣弓
 類なのか私にはよくわかりません。これまでにその頭骨は5個しか発見され
 ていないそうです。
  それが初めて南アフリカで、しかも160年にわたるカルー発掘史上初めての
 発見になるのだそうです。肉食のコリーほどの大きさの爬虫類ということです。
 頭に角の生えた面白い形の頭骨です。
 南アフリカ博物館ニュース
 参考:Proburnetiaの分類上の位置 Proburnetiaについて
     Kotelnich古生物学博物館(ロシア)

 岩手県野田村でクビナガリュウの歯発見4.13.01
  長さ32ミリ、幅9.5ミリ、最大厚さ7ミリで、重さ1.9gの歯1本です。昨年6月に
 久慈琥珀博物館長佐々木和久氏が発見したものを、1月、科博の真鍋研究官
 が鑑定。
 岩手日報

ケイチョウサウルス幼体化石写真4.10.01
  DinosaurMLのひとつなのですが、中国発です。さらにMLではまずないのです
 が、大型写真添付になっています。
 三畳紀に中国の貴州省に生息していた水生爬虫類、ケイチョウサウルスの写真
 です。メール文章によれば、keichousaurus yuananensis (遠安貴州竜)の幼体と
 いうことです。完全なはっきりした骨格、ポジ・ネガのモールドがあるそうです。
 500k程度の写真2枚付きなので、見るのにちょっと時間がかかります。

ロンギスクアマの"羽毛"11.23.00
  ネイチャー11月23日号掲載The 'feathers' of Longisquama
  
ROBERT R. REISZ AND HANS-DIETER SUES
  サイエンス6月23日号掲載論文でTerry D. Jonesらは、三畳紀の後期の小
 型主竜類ロンギスクアマLongisquama insignisの背から生えている構造は、羽
 毛であると報告しています。
 これに対し、今回の breif communications では、ロンギスクアマのウロコは羽
 毛ではなく、始祖鳥が最古の羽毛を持った四足生物であるとしています。
 細かい波状の構造の面からも羽毛とは全く異なる、また鏡像となっているこの印
 象化石の両面とも凹面になっており、元の構造物は厚みを持ったものと考えられ
 る(始祖鳥の羽毛印象では凹面と凸面になっている)そうです。
 BBCニュース
 ディスカバリーオンライン
 ABCニュース

 

2億9千万年前ペルム紀にニ足歩行の爬虫類11.3.00
  Early Permian Bipedal Reptile サイエンス11月3日号 
  David S. Berman, Robert R. Reisz, Diane Scott, Amy C. Henrici,
   Stuart S. Sumida, Thomas Martens
 ニ足で走っても恐竜の祖先ではありません。
 
ドイツの石きり場で発見され、Eudibamus cursoris gen. et sp. nov. と命名され
 たこの爬虫類は、分類上パラレプティリア(側爬虫類)の最古の種類だそうです。
 パレイアサウルス科、プロコロフォン科、ミレレッタ科などが含まれ、レプティラ
 (真正爬虫類)に対し外群をなしています。

 これは、爬虫類のニ足歩行は数回別個に生じたことを示すかもしれないという
 ことです。当時の古生代の四足動物がのっそりと移動していたときに、これは
 二足ですばやく動いたことになります。

 その根拠は
 1前後肢の長さの比率、前肢は後肢に比べ短い。
 2尾が長く、体の舵取りのような役目をもち、移動時の重心の移動のバランスを
  保ったのだろうと考えられること。
 3後肢の関節の組み合わせが、後肢が後ろに伸びきったときにまっすぐになるよ
  うになっている、また足首と膝は一方向にのみ曲がるようになっていることがあ
  げられています。

 これは植物食の爬虫類だったそうです。なのに、なぜ2足で走らなければなら
 なかったか?捕食者から逃げるためと、研究者達は解釈しています。発掘現
 場からは捕食者とみられる動物の化石も発見されているそうです。
 ABCニュース BBCニュース ユーレカアラート(PDFファイルで日本語文あり)
 ナショナルジオグラフィックニュース トロント大ニュース
 Robert R. Reiszホームページ
 参考:Troody, a robotic troodon
     マサチューセッツ工科大で研究しているトロオドンの歩行ロボット

北海道白亜紀産の初期ポリコティスル類プレシオサウルス9.1.00
  Journal of Paleontology: Vol. 74, No. 5, pp. 907-914
  AN EARLY POLYCOTYLID PLESIOSAUR (REPTILIA: SAUROPTERYGIA)
  FROM THE CRETACEOUS OF HOKKAIDO, JAPAN
  佐藤たまき(カルガリ大), GLENN W. STORRS

  確かこの標本は、'90年に北海道留萌の小平蘂(オビラシベ)川で発見され、
 東大博物館に所蔵されていたものだと思います。時代はセノマニアン上部とさ
 れています。
 ネイチャー'98年8月13日号のscientific correspondenceで、その胃内容物とし
 てアンモナイトのくちばしがポリコティルス類プレシオサウルスから初めて発見
 されたことが報告されています。

 以下アブストラクトのちょい訳
 バラバラな椎骨、右半分の前肢帯、後肢帯、肋骨、腹肋骨、胃石を含む部分的
 な骨格で、胃石は頚の短いプレシオサウルス類では非常に珍しい。骨格の形
 質から、この標本がポリコティルス科に属することがわかる。同科は北米や旧
 ソ連、それに恐らくニュージーランドではよく知られているが、東アジアでは稀で
 日本ではこれまで知られていなかった。骨化が進んでいるので、この標本は成
 体だが、他の既知ポリコティルス類より小さい。
 長く伸びたepipodial bones(よくわかりませんが足の骨のどこかでしょう)はユニー
 クだが、プレシオサウルス類であろう。この標本は白亜紀後期の初期におけ
 る生物地理的な多様化の証拠となる。

 アブストラクトではこれに新しい学名がついたのかどうかは不明です。
 同号では他にADRIOSAURUS AND THE AFFINITIES OF MOSASAURS,
 DOLICHOSAURS, AND SNAKES
という論文も興味をひきました。

  佐藤氏は昨年のSVP総会では「サスカチェワン南西部、白亜紀上部
  BEARPAW層からのポリコチルス類プレシオサウルスの予備的な報告」とい
  う発表をしています。(参考:ほにゃ訳

Perfect Fossil Shows Dinosaur's Last Supper 8.10.00
  英ヨークシャー北部のWhitby 付近の海岸で1億8千5百万年前の体長約5mの
 魚竜の殆ど完全な骨格が発見されたというニュースです。

2億2千万年前の滑空爬虫類から羽毛印象化石6.23.00
  サイエンス6月23日号掲載。
  Terry D. Jones, John A. Ruben, Larry D. Martin, Evgeny N. Kurochkin, Alan
  Feduccia, Paul F. A. Maderson, Willem J. Hillenius, Nicholas R. Geist,
   Vladimir Alifanov
  恐竜より7千5百万年も前に羽毛を持った爬虫類がいた!
 ロンギスクアマLongisquama insignisは2億2千万年前三畳紀後期ノリアンの地
 層から発掘された小型の主竜類で、1969年キルギスタンのオシュ州で発見され
 ました。従来、体長は約12.5cm程度、背中に生えた10対のうろこが長く伸び、
 滑空したとされていました。
  今回の報告では、これまでうろことされた構造が実は羽毛だったということが、
 明らかになりました。昨年ロシア化石の巡回展で、オレゴン大のテリー・ジョーン
 ズやジョン・ルーベンらがその化石を観察したところ、うろこではなく、羽毛である
 ことが確認されたのだそうです。
 
 ジョーンズらは、最古の鳥類である始祖鳥よりも、羽毛恐竜の化石上の記録が
 7千万年も後であることに強い疑問を持っています。その点、今回の発見は時
 系列的に、鳥類の進化にあてはまり、鳥類が恐竜から進化したという説に挑戦
 するものとなっています。端的に言えば、ロンギスクアマの前肢にも羽毛が生え
 てトリに進化する時間は十分あったということです。
 
 一方、恐竜から鳥類が進化したとする立場からは、羽毛はロンギスクアマと恐竜
 とで独立に2回生じたのだという意見も出されています。これについて、羽毛のよ
 うな複雑な構造が独立に生ずることはありえないと報告者達はしています。

 ジョージ・オルシェフスキーなどは、ロンギスクアマが非常に原始的な獣脚類で
 ある可能性について言及しています。
 CNNニュース
 ABCニュース
 BBCニュース
 ディスカバリーオンライン
 ユーレカアラート
 MSNBCニュース
 ナショナルジオグラフィックニュース
 ワシントンポスト
 ノースカロライナ大プレスリリース
 オレゴン大プレスリリース(大きい写真画像あり)

マダガスカルの白亜紀後期の地層から見つかった「しし鼻」のワニ 6.22.00
  ネイチャー6月22日号掲載。GREGORY A. BUCKLEY, CHRISTOPHER A.
 BROCHU, DAVID W. KRAUSE & DIEGO POL

  ワニといえば、誰もが思い浮かべる形があります。顎は長く伸び、口をぱっくり
 開けて獲物を飲み込む・・・ところが、このワニ類は全く異なります。「しし鼻」より
 pug-nosedと英語でいった方がわかるのでは?
 Simosuchus clarki gen. et sp. nov.と命名された新しい分類のワニ類は、輪郭が
 強く丸みを帯びた口吻、高さのある丸い頭骨、前方に移行した顎関節、鳥盤類恐
 竜を思わせる球根形の多咬頭歯をもっています。歯の特徴から主に草食性だった
 可能性を示しています。実際、歯の写真を見ると、 BUCKLEYがカエデの葉のよう
 だと言ったとおりギザギザしています。
 ノトスクス科に擬せられていますが、Uruguaysuchus(ウルグアイ白亜紀後期層産)
 に近縁であることが示唆されます。これは、当時マダガスカルと南米が陸続きだっ
 たことを示唆します。
 7月にシカゴフィールド博物館で開催される特別展で展示されるそうです。

  Gregory A. Buckleyのホームページを見ると、彼は6,500万年前から7,000万年
 前のワニの研究が専門で、マダガスカルからこれまでに7種類の様様なワニを発見
 し、うち6種は新種だそうです。
 ネイチャー
 BBCニュース
 ディスカバリーオンライン
 ヤフーニュースライン(復元イラスト)
 ナショナルジオグラフィックニュース
 参考:THE CROCODILE HUNTER
     CROCODILIANS
マダガスカルで発見された植物食のワニ(追加)6.28.00
  ナショナルジオグラフィックニュースに掲載されたので紹介します。
  第一記載者Gregory A. Buckleyのホームページ
  CROCODILIANS
  このワニSimosuchus clarkiについての記事がナショナルジオグラフィック誌
  8月号に掲載されるそうです。



9,500万年前の最古の後肢のあるヘビ3.27.00
  3月17日付けでお知らせしたニュースです。シカゴフィールド博物館のプレス
 リリースではカラーの大きな画像で見ることが出来ます。頭骨や後肢の部分
 の写真もあります(tiffファイル)。ただし、相当大きいのでダウンロードには時
 間がかかります。
 シカゴフィールド博物館プレスリリース

9,500万年前の最古の後肢のあるヘビ3.17.00
  サイエンス3月17日号掲載。Eitan Tchernov, Olover Rieppel, Hussam Zaher,
 Michael J.Polcyn, Louis L.Jacobs
 イスラエル、アイン−ヤブルド(EinYabrud)産の約9,500万年前の海生層から産
 出したヘビ化石の報告です。ここからは、今まで最古とされてきたPachrhachis
 problematicusが産出しています。これも後肢のあるヘビです。しかし、今回報
 告されたヘビ、Haasiophis terrasanctus には大腿骨、腓骨、脛骨、距骨、中足
 骨、指骨が揃っています。ホントにちゃんとした後肢なんですね。しかし研究者
 たちは、PachrhachisHaasiophisも原始的ではなく、進化したヘビとしています。

 また、このヘビの研究からヘビの起源に関する最近の仮説:ヘビは海生爬虫類
 起源である、さらにいえばモササウルスからとする説に対立し、陸上起源として
 います。頭骨の構造から、ボアやニシキヘビ類に近縁としています。
 後肢が発達していることについて、ヘビの進化の中で後肢を失ったのは1度で
 なく、何度かあったことなのでないかとしています。その後肢はニシキヘビのよ
 うに交尾や時たまの交戦時に役立ったのかもしれないとしています。
 サイエンス
 ユーレカアラート
 ABCニュース
 BBCニュース
 ナショナルジオグラフィックニュース
 参考:ダラス自然史博物館Pachrhachis発掘の報告や化石写真があります)
     ネイチャーサイエンスアップデート(更新世までオーストラリアに生息して
      いたWonambi属のヘビの頭骨の分析から、ヘビ類の初期進化は地中
      でなく陸上または水中だったと結論している。)
     ネイチャー99年8月12日号にヘビの採食様式の起源について論文あり

トカゲの体温を上げるもの1.28.00
  ネイチャーバイオニュース。哺乳類の脂肪の量を抑えるレプチンと
 いうホルモンは、トカゲでも作用する。トカゲもレプチンの注射によっ
 て体温は一時的に少し上がり、食欲は減退し、おとなしくなり、休息
 時の代謝率が2倍以上になった。
 研究者達はレプチンに似たホルモンをトカゲの体内から発見。爬虫
 類も、脂肪の動員と代謝をはじめとするレプチンの作用を利用してい
 ることになる。
 鳥類や哺乳類の祖先だった外温性の爬虫類から、今日の温血性(
 内温性)がどのように進化してきたかという研究にとって、爬虫類で
 レプチンが見つかったことは画期的なことだと、Niewiarowskiらは指
 摘する。

更新世のWonambi属のヘビと、ヘビ類の初期進化1.28.00
  ネイチャー1月27日号掲載。
 更新世までオーストラリアに生息していたのWonambi属のヘビの頭骨
 の分析から、ヘビ類の初期進化は地中でなく陸上または水中だったと
 結論しています。
 ネイチャー
 ネイチャーサイエンスアップデート

ガラパゴスのイグアナはエル・ニーニョで小さくなる1.6.00
  ネイチャー1月6日号のBrief communication欄で報告されています。
 ガラパゴスのイグアナは、海水温が高くなるエル・ニーニョの期間中、
 体長が6.8cmも縮まるそうです。これは体長の20%以上にもなるのだ
 そうです。それに伴い、胴回りや口の大きさも小さくなるのですが、こ
 れは、エル・ニーニョにより餌となる海草の種が変わることに対し、生き
 残るためだそうです。そのメカニズムはまだ研究中のようです。
 何しろ骨格も小さくなるのですから
 ABCニュース
 BBCニュース
 ディスカバリーオンライン
 ディスカバリーオンラインカナダ
 ユーレカアラート
 ネイチャー

荘川村で白亜紀のトカゲ新種化石発見1.1.00
  岐阜県大野郡荘川村に広がる「手取層群」の中生代白亜紀前期
 (約1億3,500万年前)の地層から、は虫類の骨の化石が複数見つ
 かり、鑑定の結果、新種のトカゲであることが分かった。現代のニホ
 ントカゲなどが含まれる「トカゲ下目」に分類される種類で、この種の
 トカゲの化石としては中国で発見されたジュラ紀後期(約1億5千万
 年前)のものに次ぎ東アジアで二番目に古く、日本では最古。新種
 には発見場所の荘川村にちなんだ学名も付けられる。鑑定に携わっ
 た研究官らが三十一日付のフランスの古生物学会誌上に論文を発
 表する。
 ヤフーニュースライン

イスラエルのアイン・ヤブルド(Ein Yabrud)発掘地で
  足のあるヘビ発見12.18.99
  エルサレムの北20kmにある石灰岩の現場は1985年以来閉鎖され
 ていました。約9,500万年前の海成層です。当時はテチス海の一部を
 成していたそうです。今回、所有者により特別に21日間公開されました。
 
 ここからは、過去に数百の非常に保存のよい化石が発掘されている
 ので、今回イスラエルと米の研究者が合同で発掘をしています。
 ニュースでは足のあるヘビPachyrhachis problematicus発見が報じら
 れています。ヘビの起源は陸上か海か議論のあるところのようですが、
 この化石の胃の内容からは海水魚の化石も出てきています。かつて
 ヘビが海で生活していたことは間違いないようです。さらに、ヘビの起
 源が約1億年前まではっきりわかった事も大きいそうです。

  Pachyrhachis はこれまでにもイスラエルで発見されています。1mを
 超える程度の長さで、水中に適応した肋骨、腰帯と後肢の残存が知ら
 れているそうです。
 ナショナルジオグラフィックニュース
 ダラス自然史博物館(発掘の報告や化石写真があります)

荘川村の中3生徒が新種爬虫類の化石を発見10.7.99
  荘川中の化石クラブの寺田祐也君が今年5月に発見した
 化石を村職員が科博の真鍋研究官と英ブリストル大のスー
 ザン・エバンス助教授に鑑定依頼したところ、水生爬虫類コ
 リストデラの新種、ショウカワ・イコイの腹肋骨であることが判
 明したそうです。
 これまでに発見された同種より一回り大きく、体長は1mほど
 あったのではということです。
 なお、ショウカワ・イコイは荘川村と記載標本の発見者の柴田
 憩さんの名に因んで命名されています。
 ヤフーニュースライン

ヘビの採食様式の起源8.12.99
  ネイチャー8月12日号に掲載。
 Michael S. Y. Lee, Gorden L. Bell Jr and Michael W. Caldwell
 ヘビといえば、大きな獲物も飲み込める、顎と頭骨の柔軟さは、よく
 知られています。しかし、進化上、固いトカゲ類の頭骨からの関連は
 明らかになっていませんでした。ここでは、モササウルスとヘビの関
 連が論じられています。(ホントに拙い訳でゴメン)
 モササウルスは獲物を捕捉するためにヘビのような長い口蓋歯をもっ
 ている。また、モササウルスの上顎は爬虫類に典型的な固いものだ
 が、下顎はヘビと形態的のみならず機能的にも同様な高度に柔軟な
 ものである。故に高度に柔軟な下顎は、ヘビとモササウルスの共通
 の祖先において、高度に柔軟な上顎より前に大きい獲物に適応する
 ために進化したと推論される。
 可動な上顎はヘビにおいて獲物を食道に飲み込むために後に進化し
 た。また、ヘビの脳頭蓋はトカゲ類のそれより固いがモササウルスの
 部分的に固い脳頭蓋は、両者の変化の中間にあるものである。
 ヘビの頭蓋の進化におけるこのような中間形態は、ヘビが地中にもぐ
 るトカゲ類からでなく、大型の海生爬虫類から進化したと恐らく考えら
 れる。
 ディスカバリーオンライン
 デイリーインサイト

米ノースカロライナ州で三畳紀槽歯目化石発見8.22.99
  同州ノースカロナイナ大チャペルヒル校の学生Brian Coffeyが'95年
 にフィールドトリップを計画したことから、この発見は始まりました。
  彼は同州東北のサイトで当時の湖水か川の層で踵の骨を発見しま
 した。これを同大地質学教授のJoseph G. Carter博士に見せたところ、
 非常に興味をそそられて翌日から発掘にかかったそうです。

  発掘された化石は、三畳紀の約2億2千100万年前に生息していた
 槽歯目、ラウイスクス亜目の新種、恐らく新属だそうです。このころに
 足に踵が形成されたそうです。が、恐竜のように指の先で歩くのでは
 ありません。
  また、この化石の胃とおぼしきあたりからは新種の哺乳類型爬虫類
 化石が発見されました。これはオンタリオ博物館のハンス・ディーター
 スーズ、コロンビア大のポール・オルスンとカーター博士により
 Plinthogomphodon herpetairus と命名されました。

  さらに胃とおぼしきあたりからは、これも三畳紀の槽歯目アエトサウ
 ルスの装甲板も発見されました。
  ラウイスクスの下からは別の槽歯目、スフェノスクス亜目の化石が
 出てきました。これは今までに発見された中で一番完全な同亜目の
 化石だそうです。
 ディスカバリーオンライン
 サイエンスデイリー
 ノースカロライナ大チャペルヒル校のプレスリリース
 同プレスリリースの写真
 
イグアナは飼い主を認識する7.29.99
  7月1日付けでお知らせしたニュースです。ABCニュースに、そのイ
 グアナ"Fido"の写真付きで紹介されました。12年前にセント・ジョセ
 フ大のスコット・マクロバート教授の元に"Fido"が来たいきさつから、
 紹介されています。認識はするが、なついてはいないようで、教授の
 手に噛みついたそうです。
  イグアナが飼い主を認識するなら、恐竜、特にマニラプトル類は、
 飼い主になつく可能性も?と、想像してしまいます。
 ABCニュース
 ユーレカアラート
 Biodiversity Lab
 The Galapagos Marine Iguana

福島県鹿島町で発見の化石、ジュラ紀のワニの下顎と判明7.14.99
  平成9年に同町の山中で発見された化石が、約1億5千万年前のジュ
 ラ紀後期のワニの下顎であることがわかりました。発見者は、先頃"ティ
 ラノサウルス科"の歯化石を発表した平宗雄さん。
 ワニの特徴を示す下顎の化石が見つかったのはジュラ紀では初めてだ
 そうです。
 化石は22日から同町歴史民俗資料館で開かれる化石展で公開される
 そうです。
 このワニはメソスキア類だそうですが、これは海生のワニで、プレシオサ
 ウルスや魚竜と一緒の地層で見つかるようです。
 詳しくはヤフーニュースライン又は河北新報で 
 参考:鹿島町
     鹿島町歴史民俗資料館の案内

イグアナはその飼い主や人々を認識する7.1.99
  イグアナが認識するのなら、恐竜を飼えば飼い主になつく?
  ニューサイエンティスト掲載
  ユーレカアラート

スコットランドで最も初期の5本指の四肢動物化石発見4.8.99
 ネイチャー4月8日号に掲載されています。R. L. PATON, T. R. SMITHSON 、
  J. A. CLACKの報告です。
 スコットランドのエジンバラ東方のGullaneという町近くのCheese Bayという海岸
 で発見されたこの化石は、Casineria kiddiと命名されました。属名は発見地のラ
 テン語化。種名は発見者Nicholas Kiddからです。
  四肢動物の最も早期のものは、およそ3億5千万年前のデボン紀後期から現れ
 ていますが、それは水生と分類されています。陸生の四肢動物の出現時期とは
 これまで約3千万年のギャップがありました。しかし、石炭紀後期約2億8千万年
 前までには四肢動物は高度に多様化していました。今回報告されたCasineria
 kiddiは、およそ3億4千万年前VISEAN(ヴィセア世)から出土したもので、最も早
 期の5指動物の標本とされています。
  この標本の前肢の骨の構造などはの動物四肢を陸上での推進に使っていたを
 示す強力な証拠となっています。それとともに、脊椎や鱗もこの動物が両生類よ
 りも爬虫類に近いことを補強しています。
  この標本は、爬虫類、哺乳類及び鳥類の最初期の祖先に最も近いということが
 できます。また、アンモナイトの初期の化石と一緒に出てきたようなことが書いて
 あります。
 ABCニュース
 ディスカバリーオンライン
 参考:Fossil from the Black Lagoon
     University of Cambridge
     National Meuseums of Scotland

中生代の巨大ワニはどのように成長したか3.18.99
 北米の白亜紀後期の地層から発見されたデイノスクスは体長が8〜10m、
 体重が2,500〜5,000kg、現生ワニ類のうちで最大のものの3〜5倍にもなると
 推定されるそうです。
 このワニが恐竜のように急速に成長したのか、ゆっくり成長したのかという研
 究が米スタンフォード大のGregory Ericksonらによりネイチャー3月18日号に
 発表されました。骨の構造の研究から寿命は約50年〜51年、そして約35年
 かけてゆっくり成長したそうです。
 ヤフーニュースライン
 ABCニュース
 CNNニュース
 スタンフォード大学プレスリリース(骨の構造の写真があります)
 ディスカバリーオンライン
 参考:ディスカバリーオンライン"The Ultimate guide Clocodiles"
 参考:Clocodile Specialist Group
 参考:熱川バナナワニ園
 
ワニに最も近縁なのはカメ2.16.99
 これまでの分岐分類学ではカメは爬虫類の中でも最も早く枝分かれしたグループ
 とされています。例えば「側爬虫類」などという枝になっています。ところが、カメとワ
 ニ両者のDNAの分析によれば、カメは真正爬虫類に連なるもので、ワニと最も近縁
 という結果が出たそうです。サイエンス2月12日号に掲載されています。
 これはもっと騒がれていいニュースだと思うのだけれど・・・
 CNNニュース
 ABCニュース
 サイエンスデイリー

カナダの北極圏でカンプソサウルス化石発見12.20.98
 アクセル・ハイバーグ島という北極圏の島で約9,000万年前の
 カンプソサウルスの化石が発見されました。当時はこのあたりもフロリダ
 のように温暖だったという事です。カンプソサウルスは見かけはワニに似
 ていますが、収斂進化したもので、近縁ではありません。
 サイエンス12月18日号に掲載されています。
 なお、英語読みでチャンプソサウルス、モンゴルではハンプソサウルスと
 言っていましたが、同じものです。これはギリシャ文字のχをラテン語化
 するとchの綴りになるためです。発音はkです。一方モンゴル語ではロシ
 ア文字хの発音がkhになるので、日本語に訳するとhだけになるのです。
 ABCニュース
 BBCニュース
 サイエンスデイリー
 ロチェスター大学のプレスリリース(文字だけ)
 
アリゾナで発見された爬虫類の巣10.29.98
 ディスカバリーオンライン(1日で消えます)
 同じくディスカバリーオンラインに模型飛行機で恐竜足跡
 化石を撮影する話もあります。(これもすぐ消えます)

米、アリゾナで爬虫類の巣発見10.28.98
 ペトリファイドフォレストで2億2千万年前とされる爬虫類の巣が
 62個も発見されました。この種の巣としてはこれまでの2倍古い
 そうです。巣はアエトサウルス、フィトサウルスと言われる爬虫類
 及びカメのものだそうです。
 CNNニュース
 CNNカスタムニュース CNNカスタムニュースその2 その3
  ヤフーニュースライン
 ABCニュース
 金子隆一北米取材アルバム97(ペトリファイドフォレストの写真あり)