utatsusaurus(up),chaobusaurus(bottom)



上はウタツサウルス、下はチャオブサウルス

 ウタツサウルスは、宮城県歌津において三畳紀前期(スパース期)の地層から発見され
た化石にもとづき、1978年、横浜国大の鹿間時夫によって記載された、世界最古の魚竜の
1つである。78年の記載論文には、不正確な全身復元骨格図が掲載されていたが、98年5
月、カリフォルニア大バークレー校の藻谷亮介らにより、宮城県雄勝で発見された新標本を
もとに再記載が行われ、このような復元となった。歌津の標本は実は亜成体であり、ウタツ
サウルスは完全に成長すると4メートルほどになるらしい。                    
チャオブサウルスは、中国安徽省において、三畳紀前期(スパース期)の地層から発見さ
れ、1972年、IVPPの楊鐘健と董枝明によって記載された小型魚竜である。その後、別な標
本にアンフィサウルス、チェンサウルスなどの名が与えられたが、藻谷らの研究により、最近
ではこれらはチャオブサウルスに統一された。チャオブサウルスの前仙椎は40個前後で、こ
の点は進化した魚竜と同じだが、個々の脊椎は細長く、チャオブサウルスの体型全体も細長
い。彼らは体全体をくねらせてウナギのように泳いだと思われ、いまだ未知のままの魚竜の
祖先の体型を引きずっていると言われる。                              
 従来この2属は科不明とされたり、オムファロサウルス科なるすでに消滅した分類単位に入
れられていたが、ここでは、これらを近縁の属とした。                        
(「中生代のシー・モンスター」金子隆一著・裳華房・近刊より)


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