研究者によるガイドツアー
(2006年7月14日 プレス向けプレビュー)
最初に、群馬県立自然史博物館の長谷川善和館長から、この恐竜博のテーマについて説明がありました。

今回の恐竜展のテーマは二つ。一つは「恐竜の巨大化」。   恐竜はなぜあれほど巨大になったのか、ということを、スーパーサウルスを見ながら考える。  

 もう一つのテーマは「恐竜の多様化」。   日本と外国の恐竜を比較し、その多様性を探る。  主なものとして、中国・モンゴルの羽毛恐竜、ジュラ紀後期のポルトガル恐竜化石、内モンゴルの鳥脚類などが挙げられる。  またその他にも各地の哺乳類化石を展示し、哺乳類の進化の謎を追う。
「最古の哺乳類」
エイドリアン・ハント氏
 三畳紀は最古の哺乳類と恐竜が誕生した、とても興味深い時代である。
 当時の気候は、前期は湿っぽく、後期は乾燥していた。恐竜たちは主に後期になってから地上に繁栄し始めた。
 ここの展示で最も珍しいのは、最古の哺乳類と言われるアデロバシレウスである。
「モリソン層について」
ケネス・カーペンター氏(左側)

 モリソン層について解説しました。モリソン層はジュラ紀後期。 ここの展示の一番の目玉は、カマラサウルス。 カーペンター氏の後ろにクビを伸ばしている恐竜です。
「ジュラ紀後期のヨーロッパの恐竜」
オクタビオ・マテウス氏(左側)
モリソン層と同時代のヨーロッパの恐竜について解説しました。

 ポルトガルで発見されたステゴサウルス、カマラサウルスなどは、北米のものに比べて小型化の傾向がある。
 特にその傾向が顕著なのは、エウロパサウルスと呼ばれる竜脚類。小さいブラキオサウルスのような印象を受ける。

マテウス氏の後ろの骨格がエウロパサウルスです。
「スーパーサウルスについて」
ケネス・カーペンター氏

 スーパーサウルスはモリソン層から発見された世界最大の竜脚類。体長33m。  彼らが巨大化した理由は、彼らの食物であった植物の栄養が少なく、大量の植物を食べなければならなかったせいではないか、と言われる。
「熱河層群について」
徐星氏

 熱河層群は、世界でも特に保存状態の良い化石の産地。  当時は火山活動が活発で、何度も地上に灰が降り注いだため、爬虫類や哺乳類などが当時の姿のまま保存されている。  昆虫、両生類、爬虫類など色々な化石が展示されているが、中でも珍しいのは羽毛恐竜化石、そして哺乳類化石である。  哺乳類化石の中には、従来の仮説とは逆に、小さな恐竜を捕食していたとされる、レペノマムスの全身化石などが展示されている。
「鳥羽竜について」
長谷川善和氏

鳥羽竜は三重県鳥羽で発見されたティタノサウルス形類。学名はまだ無い。  右上腕骨と大腿骨が展示されている。  石川県白峰からも近縁の種の歯が発見されている。  また尾椎の両方が凹んでいるなど、従来のティタノサウルス形類には見られない特徴も見られる。
「内モンゴルの竜脚類」
徐星氏

 内モンゴルで発見された新たな竜脚類について。  ソニドオサウルスと呼ばれるこの竜脚類は、後期白亜紀に生息していた。  この恐竜は腸骨にも鳥と同じく含気が進み、体の軽量化が進んでいた。
「オルニトミモサウルス類と多様性」
小林快次氏

オルニトミモサウルス類から、恐竜の多様性について考える。  オルニトミモサウルス類は獣脚類(俗に肉食恐竜と呼ばれる)の仲間であるが、その食性は肉食だけとは限らなかった。
 例えば、代表的な種であるアーケオルニトミムスの食性は、植物食と考えられている。(その理由は、葉のないくちばしと、胃石の存在による)  また、彼らは恐竜の中でも最も脚の早い種類として知られているが、その理由は獲物を追うためではなく、むしろ敵から逃げるためのだったのではないかとも考えられている。
彼らの頭・手・足には獰猛な構造は認められない。集団で行動していたと考えられるが、それも捕食者から逃げるためだった。