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完全な頭蓋が発見された竜脚類、Abydosaurus mcintoshi 2.24.10
  読売新聞 ブリガムヤング大ニュース
  
  Daniel Chure, Brooks B. Britt, John A. Whitlock and Jeffrey A. Wilson
  First complete sauropod dinosaur skull from the Cretaceous of the
  Americas and the evolution of sauropod dentition
  Naturwissenschaften DOI:10.1007/s00114-010-0650-6 論文(ダウンロードできます)
  竜脚類は何匹かで頭を共有していたのではないか?という冗談が通用するほど、
 その完全な頭蓋の発見例は数少ないものです。

 米ユタ州東部Dinosaur National Monumentの約1億500万年前の地層から発見された、
 ブラキオサウルス科竜脚類を記載しています。
 Abydosaurus mcintoshi 新属新種
 属名はAbydos:ナイル川沿いにあった古代エジプトの都市名から、そこはオシリス
 神の頭と首が埋葬された場所とされています。この恐竜の模式標本頭部と頚部が
 Green Riverを見下ろす発掘地から発見されたことから、その名を援用。+sauros
 種小名は、Dinosaur National Monumentと竜脚類の研究に貢献した、Jack McIntosh
 に献名。彼は1975年にブロントサウルスがApatosaurusの胴体とCamarasaurusの頭蓋
 のミックスであることを明らかにした。

 完模式標本:DINO(Dinosaur National Monument) 16488 ほとんど完全な関節した
 頭蓋および下顎。頚椎の最初の4個とも関節している。
 ほかに3個体の、頭部を含むいろいろな部位の標本があります。

 系統的には約4500万年前にあらわれたBrachiosaurus と最も近縁とされています。
 ただし、Brachiosaurus の歯の歯冠が幅広いものであるのに対し、Abydosaurus
 歯冠は狭いものになっています。ブラキオサウルス科に限らず、竜脚類恐竜には白亜
 紀末に向かって独立して歯冠が幅狭くなる傾向が見られ、歯冠が幅広い竜脚類恐竜は
 白亜紀末を待たず絶滅しています。かわって歯冠が幅狭い竜脚類恐竜の多様化がみら
 れるが、それはえさとなる植物の多様化や分散に適応したものではないかとしています。