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Chinshakiangosaurus chunghoensis Ye vide Dong 1992 の再評価:
 基盤的竜脚類恐竜における頭蓋進化に対する関係 20.20.07
 PAUL UPCHURCH, PAUL M. BARRETT, ZHAO XIJIN(趙喜進) and XU XING(徐星)
 A re-evaluation of Chinshakiangosaurus chunghoensis Ye vide Dong 1992
 (Dinosauria, Sauropodomorpha): implications for cranial evolution in
 basal sauropod dinosaurs
 Geological Magazine Forthcoming Articles アブストラクト

 Chinshakiangosaurus chunghoensis は、1970年中国雲南省滇中(Dianzhou)盆地Yungyin県の
 Fengjiahe Fm.(馮家河層 下部ジュラ系)で趙喜進らにより発見され、雲南省を流れる、長江
 の上流「金沙江」から属名は名づけられています。記載当時、簡単な文章での紹介だけだっ
 たようで、1992年董枝明が完模式標本の下顎、頚椎、大腿骨簡単な記載をして、知られるよ
 うになったものです。ただし、標本を構成する大部分は、現在所蔵されるうちにアクセスで
 きなくなっているそうです。

  董は、この恐竜を古竜脚類のメラノロサウルス科と考えていましたが、後にUPCHURCHらに
 よるレビュー(2004年)により無効名とされました。今回、この恐竜の左歯骨をあらためて記
 載するとともに、その形質をこれまで行われた竜脚類の系統樹に入れて再検討しています。
 その結果、Chinshakiangosaurus chunghoensis は最も基盤的な竜脚類として位置づけられる
 とともに、竜脚類の食性の変化による形質の変化について議論されています。この恐竜をはじ
 めとする基盤的竜脚類は肉質の頬を持っていたということです。論文には頬のついた復元図が
 掲載されています。
 
 アブストラクトほにゃ訳
 Chinshakiangosaurus chunghoensis の左歯骨の再記載により、それが「古竜脚類」と「竜脚
 類」の形質状態のありえない組合せを持っていることが明らかにされる。系統分析により、
 Chinshakiangosaurus は現在まで知られるうち最も基盤的な竜脚類の一つとして位置づけられ
 る。歯骨及び歯の形質のマッピングをして最節約トポロジーに入れると数多くの食性に応じた
 形質の収集の連鎖に洞察がもたらされる。例えば、基盤的竜脚形類(伝統的古竜脚類分類群)は
 下顎の著しいリッジに沿って付着した肉質の頬を有していた、また同じ構造は殆どの基盤的竜
 脚類に存在していた。初期の竜脚類頭蓋は、歯冠基部唇側を補強する外側板を発達させ、それ
 ぞれの歯冠の舌側近心部に皺のよった歯のエナメル質と窪みを有していたが、一方、肉質の頬
 を保ち比較的弱い結合だった。より発達した竜脚類(真竜脚類)は頬を喪失したが、それは恐ら
 く、低栄養価の葉を多量に集めることを含む食性の変化に応じる、顎の幅の拡大によるものだっ
 た。