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桑島化石壁産出化石調査報告会 「石川県の恐竜時代」9.27.04


向かって右から真鍋、平山、岡崎、伊左治、山口の各氏

2004年9月26日(日)、石川県立生涯学習センターで開催されたこの会に
参加してきました。報告の様子をごくかいつまんで。。。
なお、この模様はビデオ録画されました。DVD化され図書館等で利用できる
ようになるそうです。

報告者は、桑島化石産出調査団の各氏。
団長の真鍋真国立科学博物館主任研究官はじめ、
望岳苑の山口一男氏、平山廉早稲田大助教授、岡崎浩子(千葉県立中央博物館
上席研究員)、伊左治鎭司(千葉県立中央博物館研究員)の各氏が出席し、報告
しました。北九州市立自然史・歴史博物館の薮本美孝氏も出席予定でしたが、台
風のため、魚類学会で滞在中の沖縄から飛行機が飛ばず、真鍋氏が代わって報
告しました。

この調査の概要紹介を真鍋先生がし、あとは各講師が分野別に報告しました。
といっても持ち時間は15分なので、これまでの発見や知見の中からそれぞれ専門
分野のトピックをもってわかりやすく報告しています。

「桑島層の堆積環境の変遷」     岡崎浩子
 化石が含まれる地層がどのように堆積していったのか、また堆積していった
 当時の桑島の環境がどう変化していったか説明しました。

「脊椎動物化石包含層の堆積環境」 伊左治鎭司
 化石が含まれる石に3タイプあります。岩相TからVまで、それぞれに含まれる
 化石と、それが含まれる堆積環境について解説しました。

「桑島化石壁から産出した卵殻化石」伊左治鎭司
 卵殻の断面の構造により、どんな動物の卵か分類できること、産出した化石が
 どの種類のものかを説明しました。

「桑島化石壁の魚類化石」       薮本美孝(真鍋代理報告)
 レピドーピス、シナミア、パキコルムス、アロワナなど産出している魚化石の特
 徴について説明しました。

「桑島化石壁のカメ類化石」      平山廉
 産出する化石総数のうちカメ類の化石が圧倒的に多いこと。その内訳として
 甲羅の破片が多いこと。それはシネミス科、現代型潜頚類であるスッポン上科
 リクガメ上科に分類され、現代型潜頚類は世界最古の記録であることなどを
 説明しました。

「桑島層の恐竜と爬虫類化石」    真鍋真
 ティラノサウルス類のアウブリソドンに近い歯化石やヘビの祖先に近いドリコサ
 ウルス類を取り上げ、ティラノサウルス類の進化やトカゲ類の胴長短足化など
 最近の発見や議論について説明しました。

聴講した人たちの中には「恐竜時代の生き物たち」(晶文社出版)を持ってきて
いる方も数人見受けられました。おそらく報告内容がよく理解できたことでしょう。

最後に休憩をとり、質問用紙に書かれた質問に各講師が答えました。
基本的な疑問、白峰の化石発見の意義、世界最古という化石がなぜ白峰から沢
山出ているのかなどを問うものもあれば、やや趣旨不明なもの、トンデモ系なもの
までいろいろでした。終了予定時刻を1時間オーバーするほど、盛況でした。

今後も県レベルでこのような報告会が定期的に開催されれば、石川県民にもっと
桑島化石壁の化石が身近になるでしょう。